キャッチボール 第57話
「ほら。ボサッとしない!着替えて顔洗って、さっさと食ってさっさと…」
「分かったよ。」
しぶしぶ龍吾は返事した。
今日、本当の親が来る。
なぜ、オレたちを捨てたのか?その理由を絶対に聞いてやる。
「絶対…」
午前九時。玄関に白い車がとまった。
『ピンポーン』
「来た。」
姉ちゃんは慌てて玄関を開ける。
「……久しぶり。」
「…お母さん、お父さん…。」
姉ちゃんは、かすれた声で言った。目には涙があふれてる。
「とにかく上がって。龍吾も…」
龍吾は、姿をあらわさない。
「リビングでちょっと話そう。きっと…」
「恥ずかしいのか。」
父親は少し笑みを浮かべて言った。
「おぅ。久しぶり。」
「十年ぶりだな。龍吾…。」
「……」
涙が出ない。そしてついに、
「最初からこの話で悪いんだけど、なんでオレたちを捨てたの?」
「それは…」
なかなか答えようとしない。すると姉ちゃんが、
「あんなに幸せな家族だったのに…何で?」
「……うん。」
母ちゃんはなせが父ちゃんと一緒にうなずき、
「今から十年前ね、お父さんの会社が倒産して、多額の借金を背負うことになったの。でも、子供達を育てなければならない。私は死にものぐるいで働いたわ。でも、借金は減るどころか、どんどん増えていったの。いろんな会社との損失でね。だから私達、考えた。二人の子供を育てるには、まだまだたくさんのお金がかかる。だから、お金を…奪おうと。そして、何千万という借金を返すのと、子供のために詐欺をしたの。でも、あなたたちには、とにかく私達の借金のこと、詐欺をやっていること、全部秘密にして幸せを装って暮らしてきた。でも、世間は恐かった。警察に通報したと言うの。だから私達、逃げる勇気がなくて…明美と龍吾を孤児院に送ったの。それから、夫と合流して、自首したの…。」
考えられない。
親が…まさか親がそんなことを…?!
「私達は、十年も刑務所で過ごした。そして昨日、やっと出所できたの。だから…このことを謝ろうと思って…ごめんなさい。」
「…ごめんもなにも、オレ達このこと聞かなかったことにする。」
「…えっ?!」
親は口を開けて驚く。
「だって隠してたことなんだろ?謝られても困る。オレは、ただ納得しただけ。」
「……」
しばらくの沈黙。親の目には涙。
「ありがとう。龍吾。明美。本当に…ごめんね。」
「本当に…ごめんな。」
「分かったよ。」
しぶしぶ龍吾は返事した。
今日、本当の親が来る。
なぜ、オレたちを捨てたのか?その理由を絶対に聞いてやる。
「絶対…」
午前九時。玄関に白い車がとまった。
『ピンポーン』
「来た。」
姉ちゃんは慌てて玄関を開ける。
「……久しぶり。」
「…お母さん、お父さん…。」
姉ちゃんは、かすれた声で言った。目には涙があふれてる。
「とにかく上がって。龍吾も…」
龍吾は、姿をあらわさない。
「リビングでちょっと話そう。きっと…」
「恥ずかしいのか。」
父親は少し笑みを浮かべて言った。
「おぅ。久しぶり。」
「十年ぶりだな。龍吾…。」
「……」
涙が出ない。そしてついに、
「最初からこの話で悪いんだけど、なんでオレたちを捨てたの?」
「それは…」
なかなか答えようとしない。すると姉ちゃんが、
「あんなに幸せな家族だったのに…何で?」
「……うん。」
母ちゃんはなせが父ちゃんと一緒にうなずき、
「今から十年前ね、お父さんの会社が倒産して、多額の借金を背負うことになったの。でも、子供達を育てなければならない。私は死にものぐるいで働いたわ。でも、借金は減るどころか、どんどん増えていったの。いろんな会社との損失でね。だから私達、考えた。二人の子供を育てるには、まだまだたくさんのお金がかかる。だから、お金を…奪おうと。そして、何千万という借金を返すのと、子供のために詐欺をしたの。でも、あなたたちには、とにかく私達の借金のこと、詐欺をやっていること、全部秘密にして幸せを装って暮らしてきた。でも、世間は恐かった。警察に通報したと言うの。だから私達、逃げる勇気がなくて…明美と龍吾を孤児院に送ったの。それから、夫と合流して、自首したの…。」
考えられない。
親が…まさか親がそんなことを…?!
「私達は、十年も刑務所で過ごした。そして昨日、やっと出所できたの。だから…このことを謝ろうと思って…ごめんなさい。」
「…ごめんもなにも、オレ達このこと聞かなかったことにする。」
「…えっ?!」
親は口を開けて驚く。
「だって隠してたことなんだろ?謝られても困る。オレは、ただ納得しただけ。」
「……」
しばらくの沈黙。親の目には涙。
「ありがとう。龍吾。明美。本当に…ごめんね。」
「本当に…ごめんな。」
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