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キャッチボール 第58話〜別れ、龍吾の迷い〜

[332]  るー6  2009-10-22投稿
2人を精一杯抱きしめた。10年分の…愛情を。
「で、今はどうしてんの?」
姉ちゃんの質問で急に父親が真剣な表情にかわる。
「名古屋にいるんだ。できれば、こっちに来てほしい。」
「名古屋…」
龍吾はうつむいた。
「うん。2人では生活してほしくないの。ぜひ名古屋に来て、幸せに生活したいの。」
名古屋って…

目の前が真っ暗になった。確かに、家族と一緒に、幸せな生活がしたい。それはオレらがずっと望んできた事でもある。でも…
「明日。もう1回来る。それまでに返事を出して。」「分かった。」
姉ちゃんだけが返事をしていた。
考えられない…

この話し合いのあと、プレゼントを持って1人。何も知らない僕は自転車で龍吾の家へ向かっていた。
「へへ。へへへへ。」
龍吾の驚く顔を見ると、自然とニヤけてしまう。
龍吾の家に着くと、いきなり声が響く。
「名古屋に引っ越すなんて…!」
龍吾の声だ。
名古屋に引っ越す…?
「しかも明日よ!龍吾の考えは!?私…行きたいの。でも…」
明日…?
龍吾は、そのこと何も言っていないのに…
僕は静かに、自転車に乗って、帰っていった。
明日、別れの時に龍吾が来ることになっているが、このことについては言わない方がいい。
僕も、それを受けとめなければならない…。
自分の弱い気持ちを押さえ、そう決心した。


いよいよ、お別れの時。
時は、3月10日。
僕は、龍吾に会う準備をしていた。
「じゃあ、昨日渡せなかったから、渡しに行ってくる。ちょっと時間いい?」
「あぁ。」
天気は雲1つない快晴。
午前7時と待ち合わせしたので、きっと龍吾の事だから、もう来てるだろう。
外に出ると、やっぱり龍吾がいた。
「おはようみーくん。」
「おはよう。」
「……」
しばらく話せない。龍吾も話してこない。
最初に沈黙を破ったのは龍吾だった。
「オレさ、みーくんと出会えて本当に良かった。いろいろあったけど、みーくんは優しくて、我慢強くて、誰にでも気配りができて、本当に凄いって思ったんだ。」
「…どういうこと?」
すると龍吾は、
「自分にないものが、みーくんにはあるってこと。」「自分に…ないもの?」
「オレってさぁ、結構ケンカっ早くて。」
「…でも龍吾は意味のないケンカはしていないと思うよ。」
龍吾は、その言葉には少し嬉しそうだった。
心はまだ、複雑だったみたいだけど。

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