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ほんの小さな私事(124)

[370]  稲村コウ  2009-10-23投稿
なつきさんに言われた通り、私たちは、散らかっている部屋をそのままに、保健室へと移動する事にした。
私は、気の放出のし過ぎで、体から力が抜けてしまっていた為、高野さんの肩を借りて歩いた。
いつのまにか外は晴れていたので、私たちは、一度一階に降りてから、校舎へと移動していく。
途中、図書館の事務室から、なつきさんが喋る声が聞こえてきたが、まだ、催眠による記憶の刷り込みをしているのだろうか?
多少気にはなったが、私たちは急ぎ足に、図書館の前を通りすぎ、校舎の保健室へと向かった。
幸い、まだ授業中という事もあってか、途中、誰ともすれ違わずに保健室にたどり着く事が出来た。
保健室には誰もおらず、机の上には、何やら香のようなものが焚かれていた。
『あやつ…またこんなものを…。我はこういうものは好かん。少し外にいっているとするか…。』
一緒についてきた黒猫は、器用に窓の鍵を開けると、窓を開き、そのまま外へと飛び出していった。
「何…あの猫…。普通の猫とはちょっと違うよね…。喋ったりとかするし…。私、夢でも見てるのかしら?」
彼女はそう言って、自分の頬をつねる。そのあと、顔をしかめながら、「夢じゃないわね…」と言った。

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