携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> 恋愛 >> 友美の幽霊-???

友美の幽霊-???

[483]  矢口 沙緒  2009-10-24投稿
そう叫んだのがいけなかったのか、せっかくキッチンに入った友美が、またのれんをかき分けて出てきた。
そして両手を腰にあて、呆れたような顔で俺を見下ろしている。
「ひぇ〜!成仏してくれ、俺が悪かったから、謝るから、お願いだから成仏してくれ〜」
何も悪い事をした覚えはないが、とにかくここは謝っておいたほうが無難だと、俺は直感的にそう思ったのかもしれない。
「あんた、なんか勘違いしてるんじゃないの?」
おびえきった俺に向かって言う。
えっ?…勘違い???…どういう事?
勘違い?…じゃ、友美は死んでないって事?
友美が死んだって勘違いしてるって、そういう事なのか?
友美は生きている…?
い、いやいや、違う違う!
友美が死んだ事は間違いない。だって俺、友美の通夜に行ってきたもん。
間違いなく死んでたもん。
しっかり死んでたもん。
だから今俺の前で偉そうに俺を見下している友美は、幽霊だかお化けだか知らないけど、とにかくまともな状態じゃないはずだし…

俺は思い切って、震える声で言ってみた。
「と、友美、お前死んだんだぞ。お化けなんだぞ。成仏してくれ〜」
「はいはい、分かりました。いつまでも寝ぼけた事言ってないで、さっさと洗面所で顔でも洗ってきなさいよ。」
そう言って洗面所の方を指さす。
「ほら!早く!」
もうウザったいって顔してる。
これ以上逆らうと怒られそうなので、俺は渋々洗面所に向かった。幽霊だけでも怖いのに、それが怒るんだからなお怖い。
なんでお化けに顔洗えなんて命令されなきゃいけないんだ。
そう思いながら洗面所まで行き、俺は鏡の前に立った。

うっぎゃ〜

俺は鏡にうつった自分の顔を見て、悲鳴を上げていた。
顔全体が血だらけで、しかも頭の右半分が潰れたようになくなっている。
俺はここでも腰を抜かし、四つん這いになって友美のいるキッチンまで、慌てふためいて行った。
「と、友美〜!た、助けてくれ〜!顔が血だらけで、俺のあ…頭が、頭が半分なくなってるぅ〜」
なんで俺、お化けに助け求めてんだ。
「だから顔洗ってこいっていったでしょ、血だらけだもん」
「だって、頭が…頭が…」
「半分ないんでしょ。見りゃ分かるわよ。だからあんたがこの部屋に入ってきた時、どうしたのその顔?って聞いたじゃない。なのにあんたったら何も答えずに、ただ訳の分からない事ばっかり言って…」

感想

感想はありません。

「 矢口 沙緒 」の携帯小説

恋愛の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス