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recall project #18

[406]  ERROR  2009-10-25投稿
俺は転がってきたボールになんとか追い付き、流れを止めた。
(相手はあと5人か……ギリギリいけるかな。)
俺は相手を見ながらそう考えた。そして助走をつけボールを投げた。スナップを利かせたボールは真っ直ぐ相手に向かっていき、見事に仕留めた。
場は少しざわつく。その後俺は奮闘し、もう3人当て、とうとう1対1の勝負となった。残った1人は体格がよく、坊主頭だ。坊主が気迫の篭ったボールを俺に向かって投げる。俺はその球の勢いに弾きそうになるがしっかり受け止めた。そして俺も身体全てを使ってボールを投げる、しかしそのボールも坊主に受け止められた。一進一退の攻防が続く。どちらも全く譲らず、何回もボールがコートを往復する。
(直球一本では勝てない!)
そう直感した俺は怜を見てウインクする。怜はその意味を理解したように頷く。俺は勝負をかけた作戦を実行する。
今まで直球の投げ合いをしてきたが、俺はたまに緩いロブボールを混ぜる。当然坊主は後ろに下がりながらキャッチし、また投げ返す。状況は硬直したかのように思えた。しかし、また少しした後、同じような緩いボールを投げる。坊主は同じように下がって取ろうとする。しかしその手はボールを捕らえられず怜の手に渡る。そして怜はすかさず坊主を当てた。長い長い試合が遂に決着した。試合が終わる頃には女子生徒も終わってこっちを見ていた。生徒達は皆、楽しそうな表情をしていた。緊張などどこかに吹っ飛んでいったようだ。1−5もこのドッジを通じて打ち解けた感じがした。
「では、教室に戻りましょうか、はい。」
先生のその言葉で皆教室に向かい始めた。向かう最中、生徒同士で話し合う姿が見受けられる。これで友達になったのだろうか?
俺が怜を誘って教室に戻ろうと思った時、横から声がした。
「八嶋!いやぁ、やられたよ。お前やるなぁ。」
隣にはさっき互角の戦いを演じた坊主がいた。並んでみるとやはり大きい。肩幅も広く、制服の上からでも筋肉が発達しているのがわかるほどだ。
「あれは紙一重だったな、こっちがやられててもおかしくなかった。ただ、作戦が勝負を分けた、それだけだ。」
「あれはやられたよ。まんまと騙された。」
坊主は手を頭にやりながら悔しそうに言った。

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