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終わらない闇

[420]  杉山未波  2009-10-28投稿
いつの日からか俺は人間ではなくなってしまった。
形としてはちゃんとした人間なのだが、人間として大切なモノをどこかにおいてきてしまったんだ。
記憶があるところでは3年前、俺にとって一番大切だったヤツが俺の前から消えてしまった。
消えた…というのは少し語弊があるかもしれない。だけど、消えてしまった…という以外で当てはまる言葉が見つからないんだ。
俺とアイツとは中学で知り合った親友だった。
不思議と気が合って、一緒にいて楽しくて…そんな日がずっと続くと思っていた。
でも、アイツは消えてしまった。
最後にアイツと会った日に言っていた。
「もし、私がいなくなったらどうする?」…って。
「…別にどうもしねーよ。」
俺はそれしか答えなかった。
アイツが消えるなんて考えられなかったから。
翌日、アイツは跡形もなく消えてしまった。
不思議な事にクラスの奴ら、誰もアイツの事、覚えてなかったんだ。
その時の絶望感と言ったら、思い出すだけで震え上がるぐらい恐ろしいものだった。
その日から俺は人間ではなくなってしまった。
感情が欠落してしまったのだ。
確かに理由はそれだけではないと思う。
だけど、俺にとっては一番大きい出来事だったんだ。
今、アイツがどこでどうしてるかは俺には分からない。
会いたい…とも今は思えなくなっている。
なぁ、お前はどうして消えたんだ?
どうして俺だけ、お前を覚えてるなんて滑稽な事したんだ?
みんなと同じようにお前の事忘れられたら俺は苦しまなかったのに。
終わりのない闇に落とされた俺は今日も、欠落したモノを探している。

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