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ロストクロニクル8―10

[350]  五十嵐時  2009-10-29投稿
「あとどれくらいで着く?」
「安心しろ、俺達はこの辺りの海流には海賊たちよりも遥かに詳しい。この『霧の海流』に乗ってしまえば、寝ていても着く」
タクトたち五人は一隻の漁船ほどの大きさの舟に乗っていた。この舟はシルヴァたちが乗ってきた舟らしい。
「それにしても珍しいな」
シルヴァが相変わらず腕を組みながら、不意に口を開いた。
「誰も船酔いしないなんて」
タクトには、なぜ不意にシルヴァがそのようなことを言ってきたのか、大体の察しがついていた。
「霧が深くなってきやがったな」
ウェドが小さく口を開いた。
そう、ついにエンシェントロックが近づいてきたのだ。
「シルヴァ」
「なんだ」
タクトのシルヴァの声にはどちらにも緊張の色があった。
「あとどれくらいで着く?」
「もう少し、と、言いたいところだが、少しもないな。心の準備は?」
「もう少しかかるかな」
苦し紛れの笑みで答える。
「お前達のエンシェントロックでの用件はわかった。仲間を助けたければ『慰めの牢獄』へ行くといい。案内してやる」
タクトが自分達の目的地を復唱した時
「着いたのか?」
「・・・ああ。ようこそ、地獄へ。歓迎する」
シルヴァは不気味な笑みを見せた。

息つく暇はなかった。
「誰だ!」
早速船着き場の近くにいた槍を構えた兵士に見つかった。
「るっせぇ〜な〜。知らせは行ってるはずだ。約束の四人の人間だ」
シルヴァはボロ布にくるまれた人間を一人、兵士の足元に投げ捨てた。
「そんな知らせは来ていない!」
「当たりめぇだろ」
突然、兵士の足元の袋が言葉を話したかと思えば、袋からウェドが飛び出し、兵士の顎に一撃食らわせた。
「ふぅ〜、これでしばらくは動かねぇ」
「いや」
シルヴァは兵士の持っていた槍を奪い、止めを刺した。
「ずっと動かない」
「なんてことを!」
袋から抜け出たタクトが急いで兵士の元へ駆け寄った。
「戦争で犠牲は付き物だ」
シルヴァの冷淡な言葉を聞いた瞬間
「なんだと!戦争だって?無防備な人間を殺す事が戦争なのか!」
タクトは自分でも驚くほどの怒りが込み上げ、気がつけばシルヴァに詰め寄っていた。
そんなタクトをシルヴァは鼻であしらう。
「タクト、今は落ち着いて、とにかく『慰めの牢獄』へ行くことがわたし達のやるべきことよ」

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