携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> ファンタジー >> 神のパシリ 20

神のパシリ 20

[395]  ディナー  2009-11-03投稿
余計な物など何もない、死の主の部屋を思わせる空間に、玉座が一つ。

そこに、よこしまな黒蟻どもの頭がいる。

風貌は、とても柔和で穏やかに見える。ただでさえ細い目は、二人を捉えてますます細まる。
綺麗に切り揃えられた銀髪は、まるで貴族か小公子のようだ。

細い躯を玉座から起こし、その青年はにこやかに微笑を浮かべた。

「待ってたよ、レミーシュ。部下が不躾な事をしたらしいね。ごめんよ。
大丈夫、殺しとくから」

まるで見ていたかのような言葉は、最後にいびつに凍り付いた。

「…君がゼルか。はじめまして、僕が現在のギルドの頭、キアだ」

「ゼルだ」

玉座から降りたキアと握手をする。

…どくん。

ゼルの神経が脈打った。

…何だ…?

目の前の優男は、不思議そうににやけている。

「…で、話はメッツェ翁から聞いたよ。死に様なき死体どもの真相究明に来たそうじゃないか」

死に様なき死体。

うまい表現に、ゼルは少々感心してうなずいた。

「あぁ。上司に頼まれてな」

「上司…ふ〜ん、そうかぁ」

間延びした返答をしながら、キアはレミーシュを見た。

「ごめん、可愛い子猫ちゃん…席を外してくれないかな」

「…は、はいっ!」

レミーシュは怯えて尻尾をぱんぱんに膨らませた子猫のように、すごすごと退出する。



ゼルとキア、二人になった。

「フェルゼル…とかいう前の頭に似てる…というか同じらしいね?」

「またその話か。いい加減聞き飽きた」

「…その様子じゃ、何も知らないみたいだ」

「…どういう事だ」

「…いや、気にしないでよ。死に様なき死体についてだけどさ…
こっちとしては協力しても利益がないんだよね。ま、あんまり死人が出過ぎるのは確かに困るんだけどさ。それにたいした情報持ってないし。

でも今、僕の組織だからさ、ここは。僕のさじ加減なんだよ。

…で、協力してやってもいいんだけど…」




それ以降、沈黙が空間を包み込む。

「…続きを言え」

キアは、笑った。
その笑みは、今までと違った。

「話してくれないかなぁ、君が知ってる事ぜーんぶ。




…君、神のパシリでしょ」

感想

感想はありません。

「 ディナー 」の携帯小説

ファンタジーの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス