携帯小説!(スマートフォン版)

落下

[1308]  hiro  2009-11-03投稿
人々の見上げる視線の先に、ある一人の男が立っている。
男は上半身裸で、顔をひきつらせ、微かに体を震わせている。
小さく見える人々を見下ろしながら、男はそっと目を閉じて、ふうと息を吐き出した。
やがて男は決心した。
ここまできたら後悔などないのだ、と自分に言い聞かせる。
足を一歩前に踏み出し、そこの一番端に立った。
その瞬間人々の声が高まった。
男は内心で恐怖を感じた。人々は男を見上げながら、ゴクリと息を呑んだ。
もはや、誰もどうすることもできない。
一体どうなるのだろうか……。
その場は、強い緊迫した空気に支配されていた。


そしてついに、男は思い切り足を踏ん張り、身を投げるように空中へ飛び出した。

男の体は下に向かって落ちていく。

みるみるうちに落ちていく。

途中、男の体は何度かくるくると回転した。
それでも下に落ちていく。

時速何十キロという速さで落ちていく。

あっという間に男は頭から落ちて……



………!!


男は水中に姿を消した。
それと同時に、人々は大きな歓声を上げた。
一部始終を見守っていた実況の男は、興奮した様子でこう言った。

「佐藤選手、素晴らしい飛び込みでした!見事プレッシャーに打ち勝ちました!これで優勝は間違いないでしょう」

感想

  • 28516: 翔:素晴らしいオチです!! [2011-01-16]

「 hiro 」の携帯小説

ミステリの新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス