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ロストクロニクル8―17

[377]  五十嵐時  2009-11-09投稿
「何が悪いって、この廃屋の外の光景よ」
パールは忌々しげにこの粗末な廃屋の扉を見つめた。
台風でも来たらすぐに壊れてしまいそうな廃屋の中を観察してみると、自分は薄いシーツのみの乗っている粗末なベッドに横たえられており、そのベッドの右手にウェド、パール、イエルそしてフラットの面々が並び、その後ろに、外へと続く扉に凭れたシルヴァが確認できた。
「外の光景?」
タクトは掠れる声で聞いた。
「ええ、ここまで来るのにとても時間がかかったわ」
「どういう意味?」
「それはお前がちゃんと動けるようになってからだ」
パールの代わりにシルヴァが静かに答えた。
シルヴァはイエルにいつも通りのタクト達には訳の分からない言葉で何か言うと、どこか物悲しげな笑顔を見せると、廃屋から出て行ってしまった。
「また訳の分からない言葉だ」
タクトが一人呟く。
『俺は仲間達の様子を見てくる。アジトはすぐそこだし、タクトが動けるようになったら傀儡の元へ乗り込む』
そう話したのはフラットだった。
タクトは驚いた顔をフラットに見せた。
「そうだった、タクトさんはまだ知らないんですよね。この島の秘密を」
フラットは語り出した。

シルヴァは一人、地獄絵図のような町中を兵に見つからないように、慎重に進んでいた。
町の中には鎖で繋がれた島民がルパス兵たちの理不尽な仕打ちの元に、無理矢理働かされている。
(みんな、もう少しだけ辛抱してくれ)
シルヴァが島民達をなるべく見ないように仲間達のいるアジトに向かっていた時
(団長!こっちです)
(ブロウ!何してる!アジトに居ろとあれほど・・・)
シルヴァは民家の陰から民家の陰へ、ルパス兵のいないタイミングを見計らいブロウという青年の元へ駆けつけた。
(すみません。でも、アジトが・・・)
ブロウは今にも泣き出しそうだった。
シルヴァは嫌な予感がし、恐る恐る聞いた。
(アジトが、なんだ?)
(分からないんです。ガキが一人入ってきたと思えば、グルーが裏切り出して、グルーを抑えたら、こ、今度はレッドが裏切って、気が付いたら・・・)
そこまで聞いてシルヴァの頭の中は真っ白になってしまった。
(最悪の事態だ・・・ブロウ!とにかく来い!残された時間はそう長くはなさそうだ)
シルヴァとブロウは走り出した。
仲間の元へ

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