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ロストクロニクル8―19

[371]  五十嵐時  2009-11-13投稿
「イエルさん!」
イエルが突然廃屋を飛び出して行った。
「何してんだよ!」
ウェドもイエルを追いかけた。
「ウェド!外は危険よ!」
「急に何か嫌な予感がするって言って飛び出して行ったんです」
フラットは一生懸命タクトとパールに事情を説明した。
「とにかく追いかけないと!」
「でも、外は・・・」
パールの言葉を聞かずにタクトは飛び出した。
案の定、外は大騒ぎになっていた。
ルパス兵達の怒号があちこちで聞こえてくる。
目の前には既に捕まってしまっているイエルとウェドの姿があった。
タクトは必死で二人に近付こうとするが、鎖に足を取られ、鎖に繋がれた人々が邪魔をしてなかなか前に進めない。
「タクト!ウェド!目を閉じて!」
パールの声が聞こえたかと思うと眩し過ぎる閃光が走った。
「今の内に逃げて!」
ウェドはイエルを抱え、途中でタクトを抱えると閃光で目をやられた人々を突き飛ばし、人気のない所へパールとフラットと共に走り去った。

「傀儡様!」
一人の兵士が平然とした顔で地面から上がってきた傀儡の元にやって来た。
「鼠どもを発見しました!」
「駆除しましたか?」
「それが・・・」
「まぁいいでしょう。でも、そろそろ駆除に行きましょうか」

タクト達は兵士達の目を掻い潜り、島の中央にある赤い城があと少しという所まで来ていた。
「無我夢中で走ってきたけど、シルヴァは大丈夫かしら?」
「大丈夫だろう。あいつはそう簡単にはやられない奴だ」
ウェドが当然のように答えた時
「果たしてそれはどうでしょうか?」
5人の前にどこからともなく一人の青年が現れた。
「誰だ!」
「ぼくの名前は傀儡と申します。以後お見知り置きを」
傀儡
、海賊達の話していた人物だとタクトは思い出した。
「シルヴァさんは残念でした」
傀儡は一枚のバンダナを地面に放り投げた。
その瞬間、イエルの表情は凍りつき、バンダナの元へ走って行くと、バンダナを握り締め、号泣した。
「それはシルヴァさんがいつも着けていたものです」
傀儡の事務的な口調がタクトの中に鈍く響いた。
「・・・傀儡というのか」
タクトは相変わらずの体中を走る痛みを忘れていた。
「貴方のお名前は?」
「僕の名前は、タクトだ!」
タクトは剣を構え、傀儡に向かって走り出した。

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