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神のパシリ 30

[379]  ディナー  2009-11-13投稿
「ねぇ…あんたは、一体何者なの…?」

レミーシュと共に彼女のアジトに戻り、ゼルは聞かれた。

結局、ゼルはレミーシュの希望もあり、レミーシュが住む地下室に来ている。

しばらくはここにいる事になる。

魂喰いを、始末するまでは。

「知る必要はない」

「…でもさぁ…」

生温い雨に濡れた衣服を拭きながら、レミーシュは複雑な表情を浮かべる。

「正体不明な奴を住まわせたくないか?まして、俺は男だしな」

「…意地悪な質問だね」

レミーシュは軽く頬を膨らませた。

「私には、ゼル…は、フェルゼル兄しか見えないし…だから、かくまってあげてるんじゃん…」

「…感謝している」

ゼルの優しい言葉と、ルビー色の瞳に、レミーシュは一瞬で目をそらした。

「…そっ、その瞳ズルイよっ…!」

「…すまんな、元々だ」

煙草に火をつけ、ゼルはレミーシュから目をはなした。

「…お前は、フェルゼルとやらによほど執着しているな。
…愛していたのか?」

「…バっ、バカ!!…い、いい、いきなりそんな質問!?」

「…おかしいか?合理的だと思うが」

「…会ったばかりのアンタに言う必要ないっ」

「…そうか。フェルゼルは…どんな男だった?」

レミーシュは困りながらも、瞳の色は輝いているように見える。

「いい男だったよ…いい人じゃないけど。
いつも…私みたいだからって、白い薔薇を買ってきてくれた。
…人を殺して手にした金でね。
レミ、レミって呼ばれて、いつも色々話して、教えてくれた。
兄であり、父みたいで、誰より私には優しかった…。
いつも、街を支配して自分が改革していくって息巻いてたよ。
力に貪欲で、得るためなら何でもした。
だから…私も何かの力で、だから必要としてるんだって思ってた。

…今となったら、分からないんだけどね」

そう言って笑うレミーシュの表情は、おそらくこの街の誰も持っていないものだろう。

それを見て、ゼルの表情は逆に少し霞みがかった。

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