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ロストクロニクル8―20

[361]  五十嵐時  2009-11-14投稿
「教えてあげましょうか?シルヴァさんの事」
向かってきたタクトに焦る事もなく、冷静に剣をかわすと、あの時の事を話した。

シルヴァは傀儡に夢中でブロウの異変に気付くのに僅かに遅く、ブロウの剣はシルヴァの胸を貫いた。
「鼠の長もこれで終わりですね」
傀儡は消え行く意識の中にあるシルヴァに冷たい笑みを浮かべた。

「シルヴァはお前なんかに負けない!」
タクトは振り払うように傀儡に再び斬りかかった。
「残念ながら怒りで事実は変えれませんよ」
傀儡はタクトを嘲笑い、タクトの目を見つめた。
(だめ!)
その言葉を聞き取れたのはフラットだけだったが、既に遅かった。
「おや?タクトさんは心変わりされたようですね」
パール達の前に信じがたい光景が広がった。傀儡に背を向け、代わりにパール達に剣を構えるタクトがいるのだ。
「何なの」
「パールさん!ウェドさん!あれが傀儡の能力です」
フラットがイエルの叫びを訳した。
「そんな・・・」
タクトは計り知れない速さでイエルに向かっていった。
「俺に任せろ!」
ウェドがタクトに向かっていったが、華麗に右にステップを踏まれ、ウェドを追い越していった。
「タクト!」
パールはタクトの足を狙うが当たらない。
「敵にすると厄介ね」
気が付いてみれば、タクトはイエルの目の前にいた。
タクトはイエルに向かって、剣を突き刺してきたが、イエルは咄嗟にに左に避けた。だが、タクトは突き刺した剣をそのままにイエルを横に斬りつけた。
イエルは腕に深い傷を負った。
「早く殺して下さいよ。タクトさん」
タクトに夢中で気付かなかった。傀儡はイエルのすぐ後ろに立っていた。
「イエル!危ない!逃げて!」
傀儡は袖から出てきた鎖を剣の形にすると、鎖でできた剣を振り上げ、イエルを斬り捨てた。
三人の悲鳴が同時にこだましたが、それよりも遥かに大きいイエルの悲鳴が周囲を包み込んだ。
「私の能力は目だけではありませんよ」
傀儡は眉ひとつ動かさず、鎖は吸い込まれるように袖に収まった。
イエルは血塗れになり、崩れ落ち、もう動かなくなってしまった。
「さぁ、次はどなたですか?」
傀儡はタクトの後ろに立った。
「・・・そんな、イエル」
パールは膝を折った。
「では、次はそのお嬢さんで」
タクトはパールの方を向いた。

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