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魔女の食卓 5

[390]  矢口 沙緒  2009-11-15投稿


「ああ、麗子か。どうしたんだ今頃」
「ちょっと支店長と打ち合わせがあったのよ。
これからまた本社に帰るんだけど、でも今日は仕事が早く終わりそうなの」
「そうか。よし、僕も今日は早めに切り上げるか」
「ほんと、じゃ食事に行きましょうよ。
いいレストラン見つけたのよ」
「フレンチか?イタリアンか?」
「フレンチよ。
『ペリニィヨン』っていう銀座の小さなお店なんだけど、私、気にいってるのよ。
特にデザートの『木苺とアイスクリームのグラタン』っていうのがいいのよ。
そこでいい?」
「ああ、いいよ」
「じゃ、予約しておくわね。
後で電話するわ」
そう言って帰りかけた大西麗子の視線が、一番隅の机に向かって何かの計算をしている一人の女性事務員に止まった。
事務服を着ると、さらにヤボったい川島美千子がいた。
「あら、あの人?」
「ん?ああ、川島君か。知り合いか?」
「いいえ、ただ、ちょっと今朝ね。
私、ああいうトロい人あんまり好きじゃないわ」
「トロいか。
まぁ、そうかもしれないな。
だけど彼女がいれてくれるお茶やコーヒーは、かなりうまいぞ。
あれだけのコーヒーを飲ませてくれる喫茶店は、この辺にはちょっとないな」
「そう…誰でもひとつくらい取り柄があるのかしら」
大西麗子の存在にはまったく気付く気配もなく、川島美千子はカチャカチャと電卓をたたき続けていた。



*給湯室でOLの山口 、戸倉、朝倉が話し ている*

朝倉
「ねぇねぇ、今日さ、石崎部長の所に来てたでしょ、大西麗子」
戸倉
「来てた、来てた。
あたしも見たわよ。
呆れ返るくらい美人よねぇ。
あんたも見たでしょ」山口
「見たわよ。
もう言わないでよ。落ち込んでるんだから。乙女心が傷ついてるんだから」
戸倉
「なにが乙女心よ。
G‐ショックみたいな神経してるくせに」
山口
「でもさぁ、よくテレビのサスペンス劇場なんかだとさぁ、大西麗子みたいな人は性格が悪くて、悪くて、悪くて…」
朝倉
「どうかなぁ?
聞かないよ、そんな噂」
山口
「そうに決まってるわよ。
今はまだ石崎部長の前でキティちゃんかぶってるのよ」
戸倉
「猫かぶって、カワイ子ぶってるってこと。…まぁ、確かにありそうな事よね。
あんな子ってさぁ、わがままに育つのが自然だもんね」


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