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神のパシリ 33

[368]  ディナー  2009-11-16投稿
雨があがる。

今日はもう、汚れは洗い流し終わったとでもいうのだろうか。

びしゃびしゃと叩かれていた地面が、水溜まりが揺らぎを止める。










と。

人が、いつの間にか広場から消えている。

いるのは、レミーシュただ一人。

「…なんだ?」

「おかしい…こんなパターンなら今までの件は僕らも気付くはず。…何が始まるんだ…?」
キアはそう言いながらも、嬉々として目を見開く。

気配や予兆もなく、一人の存在が姿を見せた。
レミーシュの近くの、ひび割れたベンチだ。

「…奴か…?」

キアは立ち上がり、右手を上げた。
親指を立て、すぐに立てる指を中指に変える。

包囲の合図だ。




……何の反応もない。

「……!?」

キアが訝しんで、もう一度合図を出すが、結果は同じだ。

ゼルは辺りを見回した。

見える限り、人影はない。

だが、気配は分かる。

動かないのか。

動けないのか。

ゼルは空を見た。

一羽、黒い鴉が、空にいる。







翼を羽ばたかせず、不動のままで、空に存在している。


静止画のように。



「…時を…凍らせた…!?」

「…そんな馬鹿な」

ゼル、キアは動けるのに、だ。

「…俺達は小間使いだからか…?下界のみに作用させている『因果』を歪ませたのか…?」

「…そんなの、人間の所業じゃないよ。…やっぱり、あいつも神のパシリか何かって訳かい…?」

「…ちぃっ」

ゼルは跳躍した。広場を見下ろせるビルの屋上から。

その、何の類か分からぬ存在は、レミーシュに話しかけているようだ。

「お、おいゼル、一人はヤバイってば…!」

すぐにキアが追う。

ゼルは煉瓦を破壊して着地し、その破壊された地面に左手を突っ込む。


ずるり、と大鎌が姿を見せる矢先。





レミーシュと、その傍らの存在…おそらく、『魂喰い』…の前には、

先客が、現れていた。

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