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神のパシリ 33と34の狭間

[389]  ディナー  2009-11-19投稿
レミーシュは空虚な造花を穢た街にばらまきながら、

ふと、厚く雲の垂れ込めた空を見上げた。

鳥が……空にいる。

……まるで三流画家の絵画のように、動きを止めて。


その時。








「お姉さん、花をくれないか」

ロロでは聞く事のない、違和感のある台詞。

花を、求める人など。

気付けば、小汚いベンチに、フードを目深に被った人。


…いや……

人のカタチをした者。

直感だろうか。レミーシュはそう思った。

「…赤い薔薇か。派手だ。…白がいい」

「ご、ごめん、白はないんだ…」

そう言って、レミーシュは自らの脳髄に、痺れに似た旋律を走らせた。


「白い……薔薇……?」

「そうだよ。白い薔薇だ」



フードの闇の中で、白い歯がこぼれる。

「…ま、まさか……」


「いいかレミ。今は理解しなくていいから、言葉を『覚えて』くれ。

今、刻と空間を歪めて話している。

そう、人では不可能な業だ。

だが、今実際に、オレはここにいる。

レミに頼みがある。

オレはお前に頼りっぱなしで、申し訳ないけどな。

今、オレは必要としているモノがある。

それを、お前が連れて来た赤い眼の男が持っている。

そいつは、俺の肉体を乗っ取った。

俺は、肉体と、そこに入っているモノが欲しい。

騙されるな。オレをこんな風にしたのは奴だ。

どんな手を使っても、オレは奴が欲しい。無傷でな。

そこで、お前の出番だ。

奴の隙を作ってほしい。

出来れば月の出ている時にだ。




…たくさん話しすぎたな。大丈夫か…?」

「…う、うん…」

「そうか、良かった」

そう笑う彼の目が、レミーシュから離れた。
思わず視線の先を追う。

白い翼を持つ、人間離れした美しさの女が、二人の前に舞い降りる。

「おいでなすったか」

「…貴様…私を見ても驚かないか」

「まーね。あんたがレミのバックにいる事くらい分かってたし」

白い翼の者は地面に降り立ち、軽く辺りを見回した。

「…ほぅ。貴様、神に仇なすつもりか…」

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