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ロストクロニクル8―26

[386]  五十嵐時  2009-11-21投稿
「逃がしませんよ」
傀儡は腕に巨大な鎖のハンマーを装備した状態で右の壁を突き破り、立ちはだかった。
「そんな・・・」
もう避ける術は残されていなかった。さらに、複数の鎖が前方から向かってくる。
「いい考えがあります」
フラットは杖をトロッコの前に出すと集中し、杖の前にトロッコより少しだけ大きな炎の膜を作った。
炎の膜はやってくる鎖を次々と溶かした。
「大丈夫かい?」
フラットの顔色はみるみる内に悪くなっていた。
「大丈夫、です。あと、もう少し」
そのまま傀儡の足を突き破りトロッコは直進した。
「やったぞ!」
そこでフラットは眠ってしまった。
「フラット?大丈夫なの?」
前方から光が射し込んできた。
「出口だ!」
「待って下さいよ」
トロッコは地面から生えてきた鎖の塊に後ろから持ち上げられた。
トロッコは宙に浮いた。
三人の悲鳴が聞こえる。トロッコは出口に到達することはなかった。
フラットは遠くに投げ飛ばされ、三人もバラバラに投げ飛ばされた。

「い、いてぇ」
ウェドは腕を押さえながら立ち上がった。
近くにひっくり返ったトロッコが虚しく車輪を回していた。
「大丈夫か?みんな」
「ウェド?どこ?」
パールは傷だらけでトロッコの下敷きになっていた。
「大丈夫か!パール、今出してやる」
ウェドはパールの両手を引っ張ったが、出るのはパールの苦痛の声だけだった。
「わたしの事はいいから、タクトとフラットを」
「・・・わかった。二人を見つけたらすぐに出してやるからな!」

「・・・ん、ここは?」
タクトは後頭部を押さえながら立ち上がった。体中に怪我を負っている。
「やっと捕まえましたよ。タクトさん」
はっと振り返る。巨大な足の傀儡がいた。
「・・・傀儡」
「さぁ、もう終わらせましょう」
傀儡は足を元に戻すし、タクトの周りに地面から鎖を出した。
「ああ、賛成だ」
タクトは傀儡に向かって駆け出した。
「今度は同じようにいきませんよ」
タクトの前に鎖の壁を出現させた。
タクトは壁を斬った。だが、その先に傀儡の姿はなかった。
そして、タクトの二本の鎖がタクトの両足を捕えた。
「しまった!」
タクトの前に鎖でてきた円柱が現れ、中から傀儡がでてきた。
「お仕舞いですね」
冷たい笑みを浮かべた。

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