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神のパシリ 36

[370]  ディナー  2009-11-22投稿
「…素直に感謝しておこう」

ゼルは立ち上がり、大鎌を担ぎあげた。

「ここで待っていろ」

ゼルの言葉に、レミーシュは目も向けず、返答もしなかった。





ゼルとキア。

二人の小間使いが疾走し、いびつな闘技場と化した中央広場へ舞い戻る。

フードの者…もはや『魂喰い』でいいだろう。
魂喰いは光を組み敷き、それを眼下に深い闇の中から笑みを見せていた。

「…は、離せ下郎がっ…!」

「やべぇ、めちゃいい匂いすんじゃんお前…光の、甘くて白い…たまんない匂いだ…」

魂喰いの口からは、獣のように唾液がしたたり、ふくよかなレミエルの胸を濡らす。

「ちっ、ここで彼女がやられるとまずいよ。光のパシリを失ったら…また神々による戦火が灯るかも…」

キアの言葉の終わりを待たずして、ゼルは大鎌を頭上で水平に振り回して遠心力をつける。

をおおぉぉ…と、罪人が呻くような音を鎌が作り出す。

それの音に、魂喰いがゼルを視界に入れた瞬間。

キィィィ……ッッンッ。

肉を断つのとは異なる音。

鎌は水平に振られ、魂喰いの胸部を真横に切断する。

「…魂を切る音だ。貴様の魂を両断した。

…冥土へ墜ちろ」

回路を失った胸部より下半身が、力なくレミエルにのしかかり、刹那の後に灰塵と化す。











だが。

「…ほぅ。まじウケる手品だなぁ」

上半身は、レミエルを組み敷いたまま喋り続ける。

「……!!?」

常に冷静なゼルに白波がたった。

「あーあ…体こんなんじゃ何もできないし。

んじゃ、コイツをいただくよ。

…ついでに、パシリの魂もなァ」

ゼルが第二撃を加える前に、魂喰いはレミエルの柔らかな胸に顔をうずめた。




顔が、乳房に深く沈んでいく。
まるで皮膚を突き抜け、その中に入っていくように。

「…ぅぁあああああああああああああああああああ」
声というより、音に近い、光のパシリの悲鳴。

血も何も、破壊に繋がるものは何もない。

だが、魂の燭が揺らぐのを感じた。

神の小間使いの命を脅かす存在に、ゼルは戦慄した。

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