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肌とねこ6

[326]  KSKくま  2009-11-23投稿
今関さんも男だ。当然下心もあるはずだ。彼のことを大して知っているわけではないし、気を使う部分も大いにある。
でも・・・
でも!
藤堂よりはマシだ。
よく知らない男性の方が知ってる男性よりもマシだという論法は、他人が聞けばあり得ないことだと思う。
でも!もう藤堂は嫌だ。
バカだと言われても良い。

「あなたはバカなの?」話のいきさつ上、先輩に報告すると、実際に言われた。
「その人が大丈夫だという保証があるわけ?」
「ありません。でも、彼はもう嫌です」
その日はぶり大根だった。皮を箸でつまみながら先輩は口を真一文字に結んだ。
「藤堂?なんかされたの?」
「口説かれました」
「何?自慢したいの?良いわね、若いって」
「何言ってるんですか?先輩が大丈夫だって言ったんじゃないですか!」
「それはアンタが年上らしく振る舞わないからでしょ?受けの姿勢で居るから『口説いていいのかな』って相手に思わせるんでしょ?そういうのをスキって言うの。ちがう?」
言い返す言葉もないけど、無責任過ぎて腹が立つ言い方だった。実際に先輩は何の責任も負う立場にない。しかし、発案したのは先輩だ。
「ち・・・!」
「『ち・・・!』?」
「違いません」
肩を落としていると先輩はお茶を一口飲んで、例のごとく溜め息を吐いた。
「わかったわかった。気が弱いのね」
むくれている私の髪を撫でた。
「でも、気をつけなさい。ちゃんと嫌なら相手に言うのよ」
なんだかお姉ちゃんみたいだった。

藤堂には「彼氏ができた」と伝えてこれまでのことにお礼を言った。さすがの藤堂もこれにはショックを隠しきれず、ちょっと悪いことしたと思ったが、半面喜ばしくもあった。

今関さんは会社の前で待ってくれていた。深く頭を下げて近づくと優しく笑った。
「どうもスミマセン」
「いえ、お隣同士ですから、遠慮はいりません」今関さんは何を考えているのだろう。やはり、あわよくばと思っているのかもしれない。でも、そんなことは微塵も感じさせない余裕があった。もしかすれば、私が今関さんに恋愛感情を抱かないのと同様に今関さんも私を下心で見てなどいないのかもしれない。歳が一回り違えば・・・。
きっと私がその時思ったことは希望的観測に過ぎなかったんだと思う。

つづく・・・

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