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ロストクロニクル8―27

[392]  五十嵐時  2009-11-23投稿
両腕も拘束され、動けないタクトの前で、傀儡はイエルの時と同じように剣を形作っていく。
そして、傀儡の手の中で剣が完成した時、タクトは信じがたいものを傀儡の背後に認めた。
「最後に言い残すことはありますか?」
「それは・・・こっちの台詞だ!」
傀儡は目を細め、タクトの見ている自分の背後を振り返った。
「よぉ」
その人物は振りかざされた大きな剣を振り下ろした。
剣は傀儡の体を深く斬りつけた。
「あ、貴方は!そんな・・・わ、たし・・・は・・・」
傀儡はその場に崩れ落ち、砂になった。
「意外とあっさり終わっちまったなぁ」
タクトの鎖が砕けた。
「死闘を繰り広げるよりましさ。そんなことより、どうしてここに?シルヴァ」
シルヴァは大きな笑い声を上げた。
「ばーか、敵を欺くにはまず味方からだ」
タクトは頭を傾げた。
その様子を見てシルヴァは鼻で笑った。
「俺の生まれつきの力」
そう言ってシルヴァは剣で自らの心臓を突き刺した。
「シルヴァ!」
「夢でも見てるのか?タクト」
気が付くとシルヴァは平然と立っていた。
「あれ?」
「幻覚だ」
シルヴァが自慢気に胸を張った。
「幻覚?」
「そう。俺は厳しい条件下限定でだが、他人様に幻覚を見せることができるんだ」
「それじゃあ、イエルも!」
シルヴァの表情は沈んだ。
「いいや、仲間達とイエルは・・・」
「・・・ごめん」
タクトは下を向いた。
「でも、他にも俺達のアジトはあるんだ。その仲間達でエンシェントロックを再興するんだ!」
「おーい、タクト」
ウェドが走ってきた。

ウェドと一緒にパールを救出したあとで二人に全てを話した。
「じゃあ、傀儡も倒したし、フラットを探しましょう」
「あの魔導師なら出口の近くで寝てた」
シルヴァはぽつりと呟いてから「それじゃあ、俺は気が済んだから」と歩いてタクト達のトロッコに乗って来た道を帰っていった。

タクト達は出口のすぐ目の前で倒れていたフラットを見つけ、ウェドが担ぐと出口を出た。
「二人ともボロボロだな」
ウェドは傷だらけでボロボロのタクトとパールを見て笑い出した。
「ウェドに言われたくないのよ!」
「ウェドもボロボロじゃないか!」
「あのな、俺はな・・・」
三人の仲の良い言い合いは続いた。

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