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神のパシリ 38

[394]  ディナー  2009-11-23投稿
「…いくぞ」

音もなく、ゼルが疾走、魂喰いに迫る。

たちまち、辺りに剣戟の音が響き渡る。

耳障りな金属音のような、冥土の悲鳴が潰れる
ような音が休みなく
叩き出され、力と力が
ぶつかり合う。

「…無茶するなぁ」

キアが、その渦へ
飛び込んだ。

ゼルは死の小間使い。
死の神だけでなく、
悪神に分類される力の
多くは、月の女神に
よって束縛されている。

月の束縛力は、満月の時に頂点を極める。

ゼルが不利なのは、
見ずともたやすく理解
できる。

そして、キアは月の
小間使いだ。

脈々と、体を流れる
月の女神の力が、沸点に至っているのは確かめずとも
たやすく理解できる。

キアは素早く地面を
月の蛮刀で削り、
冷たい彫り込みの陣を
作り出す。



「…さぁ主よ、見て理解したまえ…

……行け」





陣が凍てつく輝きを放ち、ゼルを捕えた凍える
色の鎖が吹き出し、
魂喰いに向けて飛ぶ。

「月満ちた時の僕を
ナメないでくれよ」

魂喰いの目前で鎖は
更に無数の鎖へと枝葉をわけ、鎖の雨となる。

「…っち、うぜー奴っ!」

魂喰いは飛び下がるが、鎖のシャワーは執拗に、意思を持って追走する。

翼を使い飛翔した
魂喰いは、素手で鎖を
薙ぎ払う。

美しい長い指が虚空を
薙ぐだけで、鎖が玩具であったかのように弾け飛ぶ。

だが、膨大な数の鎖。
薙ぎ払うだけで追い付くはずもない。

鎖の触手が、魂喰いを
からめ捕る。

「ほらゼル、おいしい所はあげるよ」

「感謝する…!」

ゼルの左腕が躍動し、
大鎌が空中へと飛び出す。

冥土へ引きずりこもう
とせんとする、亡者の
呻きを引き連れて。

冷たい光が、翼持つ
光の片鱗と交差した。

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