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魔女の食卓 39

[410]  矢口 沙緒  2009-11-24投稿


戸倉
「ダメよ!
だって、あたしの相手と同じだったら、困るもん」
山口
「…あんた達って、いったい…?」
朝倉
「大丈夫よ。
あんたとカブったりする事はないわよ。
会社とは全然関係ない人だから」
戸倉
「妻子持ち?」
朝倉
「奥さんが一頭と子供が二匹だってさ。
あたしさぁ、その人がいないと、生きていけないのよね」
山口
「そんなに、思い詰めてんの?」
朝倉
「違うわよ。
あたしってさぁ、ひどい肩コリなのよ、子供の頃から。
ずっと、肩コリで悩んでたのよ。
ある日ね、その人が、
『肩、揉んでやろうか。
俺、うまいんだぜ』
って言ったから、
『じゃ、やってもらおうかしら』
って言ったら、本当にうまいのよ。
スーっと楽になって。
その時にさ。
ああ、あたしはこの人なしでは、生きていけないわ、って思って」
山口
「それって、愛なの?」
朝倉
「愛かどうかは、知らないわよ。
でもさ、あの人が必要なのよ。
あの人がいなくなると、困っちゃうのよ。
肩張っちゃうもん。
もし、あの時あの人が肩を揉んでなかったら、もうとっくに別れてたかもしれないわね。
たいして魅力のある人じゃないし。
でも、今はもう別れられない。
愛とか何とかじゃなく、あたしには必要性があるのよ、あの人が。
愛なんて気持ちは、時間が経てば薄れちゃうけど、肩コリは一生治らないもん」
戸倉
「愛よりも堅い絆って訳ね」
朝倉
「世の中にはさ、愛よりも堅い絆ってあるのよ」
山口
「でもさぁ、それってあんたが一方的に必要性を感じてるんでしょ。
もしもよ、もしその絆が切れたら?」
朝倉
「考えたくないけど、もし、あの人があたしの前からドロンパしちゃったら、死んじゃうかもしれない、あたし」
戸倉
「肩コリで?」
朝倉
「代わりがいないほどうまいのよ。
あの人のマッサージは。
マッサージ依存症かしら、あたし」
山口
「ねぇ、石崎部長と川島さんなんだけど。
あの二人も、どちらかがどちらかを必要としているのかしら。
あんたと不倫相手みたいに。
何かの依存症かなぁ?」
朝倉
「さぁ、どうかしら。
でも、もしそうだとしたら、やっかいだよ、あたしの経験からすると。
変に離れられないもん。
…そうだ!
そんな事より、あんたも不倫してるんでしょ!」
戸倉
「あっ!
もうこんな時間だ。
そろそろ帰ろうかな」

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