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Paramita―序章1―

[560]  新海 剛志  2009-11-25投稿
一夜の色街―\r

 街は夜だというのに活気に溢れ、あちらこちらで人々の声がこだましあう。木枯らしは冬にはそぐわない花たちの香りを運び、私の鼻を擽る。店先の遊女たちは私に手招きする。私はそれには見向きもしない。
「・・・・・」
 私は店の前で足を止める。三階建ての個人まりとした佇い。建物の大きさにそぐわない程の大きな看板。
 店の名―輪廻―\r

「あら、お侍さん!」
 二十四、五歳程の女が私に気付き、甲高い声を上げる。
 彼女は私に近くなり、体を寄り添わせる。梅の花の香りを漂わせて
「今日はどういったご用件で?」

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