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神のパシリ 39

[411]  ディナー  2009-11-25投稿
「……だぁからぁ、無駄なんだって、それじゃあ」

挑発気味に魂喰いは笑う。

その左腕は、既に大鎌によって切り落とされている。

だが、全く力の衰えなどなく、魂喰いの余裕も崩れていない。

「さっき分かったろ?お前の武器じゃ、オレは死なねーよ。
体なんて、ただの器でしかない。
でも、オレには魂なんてねーからなぁ、ハハハハハ。
…ま、この体気に入ってるからちょっとムカつくけど」

魂喰いはそう言うと、いともたやすく月の鎖を切断した。

「もっといたぶってやろうかと思ったけど、興が削がれたな。とりあえずその辺のヤツ喰って、腕治すかな。

んじゃぁな、ボンクラども」


魂喰いは、まるでそれが最初から自分の体であったかのように、器たる体を巧みに操り、翼を使って姿を消した。









「…雲行きの怪しい展開になってきたね」

キアが苦し紛れに毒づく。

魂のない器。

効かない武器。

圧倒的強さ。

魂を喰らっての強化。




なにもかも、想定外か、予想を大きく上回っている。

「…主の指示を仰ぐ
しかない」

ゼルは、奥歯をぎりっと鳴らした。

「…珍しい…んじゃないかい?君が怒るなんてさ」

「…赦す事などできるか。
あまつさえ、
魂を食い散らかすなど、死への冒涜だ。
加えて、奴は
神を侮辱した。
しかも自らが神になる、新しい因果、
秩序を創るとほざいた。
何故こんなに苛立つのかは分からんが……

奴は冥土の…
煉獄に叩き落とさねばならん」


煉獄。

冥土にある
『地獄』
という施設より
更に強大で恐ろしい、
魂の収容施設だ。

通常では浄化されない者、魂は、そこを
ただひたすら堕ちていくという。

転生の輪廻など
用意されてはいない。

永遠に、そこで
責め苦を受けるのだ。

永遠に。



しかし、そこへ送れる
『モノ』を、奴は
持っているのか…?

それすら、ゼルの怒りを加速させる。

やり場のない感情を、
がんじがらめに自らの内に縛り付け、ゼルは広場を後にした。

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