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猫役場に勤める猫 3

[532]  となりのトトりん  2009-11-27投稿
車窓から見る景色は流れに流れ近くはヒュンヒュン進み。

遠くの景色はゆるりゆるりと流れた。

さぁ役場はだいたい次辺りだろう。

もう遅刻は免れない。
でもそれを補う良い路線を見つけた。
満足だった。

『犬村駅は停まりませんのでご注意願います。』

そうゆうと汽車は
『ジュウジャウボウボウ』
とけたたましく石炭を燃やし速度を上げる。

『乗客の皆様は手摺りにつかまりご注意下さい』

それからはもう
『ゴウゴウジュウジャウボウボウ』
とさらに速度を上げる。

『貴方怖いわ』

『大丈夫です。今度は目を閉じて。』

そう言うと二人は顔を寄せ合い手を握った。

なんだか恐ろしくなりどっしり猫に目をやった。

どっしり猫はぐおぐおといびきをたて寝ている。少し安心した。

やがて景色は荒れ、外からギャウギャウと声が掛かる。

さすがにどっしり猫も目をギョロギョロと開け警戒している。

何が起きるやら心配で心配でじっっと硬直している。

だらだらと汗は出始めどっしり猫はもう大変。
ふと辺りが暗くなった。

汽車の窓はバシッバシッと酷く叩かれてすごい音がなる。

ぎらぎらとした目が汽車の窓からビュンビュン流れた。

その恐さといったらそれはそれはこの世のものとは思えない。

夫婦はぎっちりと手を握りあいずっと駅を過ぎるのを待っている。

どっしり猫はその大きな体を小さく小さくして座席の下に隠れてしまった。
長く感じた刹那が過ぎるとまた辺りには美しい車窓が現れた。

遠くには緑豊かな平原に長い長い川が走る。

近くの樹木には若々しい葉が生い茂っていた。

太陽の光は穏やかで顔に照っていることが心地良い。

こんなに美しい世界があっただろうか。

いつまでもいつまでもこの温かい光りの中で眠りたい。
夫婦は顔を寄り添い静かに眠る。
どっしり猫も微笑みながら眠りに着いた。

しかしそろそろ役場に着くはずだ。

私はぐっと眠気を堪える。しばしば乗っているのに車掌猫の放送はいっこうに流れない。
少し不安だ。とうに着いてもいい頃だ。

どっしり猫はどこまで乗るのだろうか。夫婦の猫はどこまで行くのか。

『次は終点〜新世界〜新世界』

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