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ロストクロニクル9―5

[401]  五十嵐時  2009-12-02投稿
シャープとドローは城内に入ろうとする人々の元へ駆けつけた。
いくら中にはムシがいると言っても、一笑されて追い払われるだけだった。
「仕方ないわね。ドロー、わたし眠っちゃうかもしれないから、その時はよろしくね」
シャープは掌に杖を出現させると集中し始めた。
「はぁ?どういう意味だよ?」
「魔導師は魔力を使い過ぎると、魔力を回復させるために本能的に眠るようにできてるの」
シャープの体は冷気に包まれていく。
「おい、何する気だ!もう入っちまうぞ!」
「・・・まぁ見てて」
うっすらと笑みを浮かべると、気合いの籠った大きな声と共に杖から、まるで龍のような巨大な氷柱が放たれ、氷柱は轟音と共に城門にぶつかり、城門全体を凍りつかせた。
「・・・すげぇ」
ドローは倒れるシャープを受け止めた。
「何者だ!」
当然のように城門に構えていた兵に見つかってしまった。
一人の兵がこちらに走ってくる。
「バカ野郎!中には何がいるのかわかってるのか!」
ドローは兵の言葉を聞いた途端、訳が分からなくなった。
「・・・ああ、当たり前だろう・・・」
兵士はにやりと笑うとドローに斬りかかった。
ドローはそれを両手に構えた左のダガー受け止めた。
「俺はルパスとパラスがどうとか、全然わかんねぇ。けど、少なくともお前達パラスの兵士は良い奴らじゃねぇってことがわかったぜ!」
ドローは兵士の剣を弾くと右のダガーで切り捨てた。
「この国はどうなってるんだ!」
パットとチェロがかけつけてきた。
「おい、ドロー!何があったんだ?あの門は?」
ドローはこれまでのことを全て話した。
「ドローさん、あなたはこの戦いには直接は関係ありません。今なら引き返せますよ」
チェロはドローに言った。
「・・・俺は、チェロ達の話しが全く理解できない。ウェイトとタクトも聞いたこともない。木彫りの不死鳥なんか全く知らない。けど、お前達は今困っているだろ?」
チェロは黙って頷いた。
「だったら俺はお前達を少しでも助けたい。それじゃだめか?」
チェロは少し考えた。
「・・・これはとても大きな戦いになります。それはパットさんとシャープさんそして、ウェイトさんとタクトさんの予想を遥かに上回るほどでしょう。それでも、最後まで助けて頂けますか?」
「当たり前だろ」
ドローは力強く頷いた。

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