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子どもは家を選べない〜その7〜

[1365]  真理康子  2009-12-02投稿
千鶴子は、焦っていた。

なぜ、結衣子は、からだを壊さない?

ずいぶん、遠い昔、不倫がうまくいき、つい、誰かに自慢したくなった。

相手は、結衣子の親友の父親である。
近いうちに、二人の生活を築ける目処もついた。

本来、舞台で歌を歌いたいような千鶴子にとって、この嬉しい秘め事を黙り続けるのは億劫だった。

ちょうど、そこに、不倫だと聞けば、嘆き悲しみそうな、親から見ても、清廉潔白そのものの実娘がいた。

千鶴子は、その間違いない生活ぶりも壊したくなった。

結衣ちゃん、お母さん、相談があるの

いつになく、優しく結衣子に声をかけた。

一通り、まだ、中学の子どもに経過を話した。

千鶴子は、すっかりヒロインだった。

で、お父さんと別れたいんだけど、結衣ちゃんは、どう思う?

すっかり気分に乗って、娘の顔を見た。

次の瞬間、千鶴子は、欲しい答えを得た。
お母さんの良いように

それだけ言うと、結衣子は千鶴子から離れ、そして倒れた。

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