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もし、愛に格差があっても。12

[436]  るー6  2009-12-03投稿
菜々の家へと向かっている途中、
『これに着替えて。』
『…えっ?』
走太には似合わない高そうなスーツ。
『ぴったり合うかなっ…』『それより、何で着替えるんだよ。』
『ニュースの事。走太さん…心配だから。私の家の執事になってもらおうと思って。』

という流れだ。
執事?…か。
これでとりあえず、強制労働は免れた。
「走太さん。」
「…はい。」
そう声をかけられ、走太は菜々の横へ。
「これから、私の執事となります、東原走太さん。」「宜しくお願いします。」その瞬間、お母様の目が変わった。
「この人…前国会で見たわ。総理と気やすく話しているところ。どうやら、フリーターみたいだったじゃない。」
…やばい。
あの時のこと…
「お母様…。」
平手が菜々の頬に飛んだ。「最近反抗するようになったのは、…この男がいたからね。」
「……。」
走太は菜々を見守ることしかできない。
いや、そういう立場でしかない。
「顔汚れているし…いくら高そうなスーツを着ても、それじゃあ台無しじゃない。」
菜々は、我慢し切れず、家を飛び出していった。
走太は、その後を追おうとしたが、
「待ちなさい。」
背中に棒が入ったかの様に、ピンとした背筋で走太は振り向いた。
「何でしょうか。」
「もう2度と、娘に関わらないで。」
走太は、何も言えず、
ただ深く頭を下げて
菜々の後を追うのだった。

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