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神のパシリ 44

[390]  ディナー  2009-12-05投稿
魂喰いの言葉はより一層
の凍てつきをはらむ。

「否定するヤツはいらない。こんな世界にこだわる
奴は、オレが喰らって
やるよ。

……………………全てな」

レミーシュの瞳からは、
大粒の涙がこぼれだしていた。

それを見ても、魂喰いは別段表情を変える事も
なく、薄暗いバーで
好みの女を口説くように語り続ける。

「オレと一つになるんだ、嬉しいだろレミ?
そしてオレの中で、変革を見たらいいじゃん」

別に、レミーシュに情などない。
だが、地獄の業火に似た勢いをもって、
ゼルの魂は烈しさを増した。

「変革だと…?貴様の描く世界など、画餅だ」

「…いい所で、うるせーなぁ」

魂喰いの掌が、レミーシュ越しにゼルへ向けられる。

ゼルは素早くレミーシュを抱えて側転、ベッドを
蹴り上げ楯にする。

バキィィィィ!

魂喰いの喰らった、光の小間使いの力で、
ベッドは音をたて消し飛ぶが……




その向こう側に
二人はいなかった。



彼方の、地下窓が鉄格子ごと破壊され、地上にたまっていた水が流れ落ちている。

レミーシュ脱がせていたはずのゼルの武装も、
部屋には残っていない。

「…ほォ、主からの戴きモンかよ、あれ」

おそらく、常識はずれの
力が、ただのタイトな
レザーライダースコートと、同じくレザーの
ボトムに付与されていたのだろう。

「逃さねぇよ…オレの躯。…そして、冥土への鍵…」
魂喰いは、その手に握られていた、
繊細な意匠の施された
耳飾りを握り潰した。

心が割れるような、

精神の薄氷を砕くような、



哀しい音がした。

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