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流狼−時の彷徨い人−No.30

[496]  水無月密  2009-12-09投稿
 凄まじい闘気が、南雲から放出されていた。
 その爆風のような気が容赦なく襲いかかるが、それでも半次郎の気は揺るがない。
 一方の南雲は、自分の闘気と対等に渡り合う存在に歓喜していた。

 気の勢いそのままに襲いかかる南雲は、上段から凄まじい斬撃を打ち落ろした。
 辛うじて受け止めた半次郎に、間髪いれず左脇腹への一撃が襲う。
 これを後方に跳ねてかわした半次郎は、着地と同時に地を蹴り、南雲の右肩目掛けて突きをはなった。

 防御から攻撃に転じる素早い流れであったが、南雲は刀を突き出してこれを弾くと、そのまま速度を強め、閃光のような突きを半次郎に向けて走らせた。

 わずかに体勢を崩されていた半次郎に、この攻撃をかわすのは不可能に思えた。
 だが彼は、人並み外れた反射速度で膝の力を抜き、仰向けに倒れることでこれをかわした。
 それと同時に南雲の胴に蹴りをいれ、次の攻撃をも封じていた。

 距離をとって身構える半次郎の額から、一筋の鮮血が流れ落ちた。
 南雲の攻撃を完全にはかわしきれず、皮一枚切り裂かれていたのだ。
 もし今の突きが防御の過程を経ず、攻撃のみに専念された一撃だったら、半次郎はそう考えると背筋に電流が駆け巡るのを感じていた。
 その戦慄が、半次郎の気をわずかに乱れさせた。

 気の乱れを察知した南雲は、一気に畳み掛けにはいった。
 その攻撃は変幻自在で、上下左右の至る所から途切れることなく半次郎に襲いかかった。
 しかも、その一つ一つの斬撃が大槌で叩かれたような破壊力があり、刀で防いでいながらも、凄まじい衝撃波が彼の体を貫いていた。

 矢継ぎ早に刀を繰りだす南雲であったが、全て半次郎に防がれると、小手先の技では倒せぬと判断し、攻撃を中断して距離をおいた。

 刀を右肩に引き、半身に体を開く独特の構えで気を練る南雲。
 対する半次郎もすかさず気を練り直し、自分の間合いに張り巡らした。

 二人の距離はおよそ三間(約5.46M)、一蹴りで互いの間合いに入れる距離である。
 機をうかがっていた南雲に、半次郎は突いてこいといわんばかりに、上段へと構え直した。

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