ロストクロニクル10―3
タクト達は足をとられる沼のような地帯から抜け出すことができた。
「もう!足が気持ち悪くて仕方ないわ」
パールは地面を何度も踏みつけている。
「パール」
タクトが人差し指を口元に当てている。
「・・・どうしたの?」
「走れ!」
突然三人が走り出した。
「待ってよー!」
パールも駆け出そうと時
「待ってよ、お嬢さん」
目の前に黒いボロ布を身に纏った、死神のような人物が上から降ってきた。
「パール!」
タクトが全力で引き返してくる。
「・・・あなた、誰なの?」
死神のような人物は「キキキキキ」と奇っ怪な笑い声を上げてただその場に立ち尽くしている。
「パール!逃げろ!」
タクトは早くも引き返してきており、謎の人物を背後から斬りつけた。
「キキキキキ、あんたからだよね?今の」
謎の人物は振り返ると、タクトに抱きついたかと思うと、すっと吸い込まれるようにタクトの体の中へ入っていった。
タクトはその場に倒れ、スヤスヤと寝息を立ててしまった。
「タクト?」
パールは恐る恐るタクトに近づいて、タクトが眠っていることを確認した。
「タクト!」
「タクトさん!」
二人が遅れて戻ってきた。
「眠ってやがる。あの死神何しやがったんだ」
すると、タクトが苦しそうに唸り声を上げ、激しく右へ左へ暴れ始めた。
みるみる内に体中が汗だくになっていく。
「何が起こってるの?」
パールとウェドはどうしようもなくタクトを抑えることしかできなかった。
「・・・夢の中に入り込んだんだ!」
フラットが指を鳴らした。
「夢の中へ?」
「じゃあ、どうしようもねぇじゃねぇかよ!」
フラットはそんな二人に躊躇しつつ言った。
「いえ、他人の夢の中に侵入する方法なら、あります」
パールとウェドが希望に満ちた目でフラットをみつめた。
「でも、したくありません・・・」
「どうして?苦手なの?」
「それもありますが・・・」
フラットはため息をつくよいに深呼吸した。
「いいですか。夢というものは、その人の記憶の中だけで創られる“世界”なんです。その世界に侵入するということは、その人の記憶を全て見るということなんです。人には誰にも知られたくない記憶や過去があります。だから、嫌なんです」
「タクトの過去か・・・」
三人は成す術なく黙り込んでしまった。
「もう!足が気持ち悪くて仕方ないわ」
パールは地面を何度も踏みつけている。
「パール」
タクトが人差し指を口元に当てている。
「・・・どうしたの?」
「走れ!」
突然三人が走り出した。
「待ってよー!」
パールも駆け出そうと時
「待ってよ、お嬢さん」
目の前に黒いボロ布を身に纏った、死神のような人物が上から降ってきた。
「パール!」
タクトが全力で引き返してくる。
「・・・あなた、誰なの?」
死神のような人物は「キキキキキ」と奇っ怪な笑い声を上げてただその場に立ち尽くしている。
「パール!逃げろ!」
タクトは早くも引き返してきており、謎の人物を背後から斬りつけた。
「キキキキキ、あんたからだよね?今の」
謎の人物は振り返ると、タクトに抱きついたかと思うと、すっと吸い込まれるようにタクトの体の中へ入っていった。
タクトはその場に倒れ、スヤスヤと寝息を立ててしまった。
「タクト?」
パールは恐る恐るタクトに近づいて、タクトが眠っていることを確認した。
「タクト!」
「タクトさん!」
二人が遅れて戻ってきた。
「眠ってやがる。あの死神何しやがったんだ」
すると、タクトが苦しそうに唸り声を上げ、激しく右へ左へ暴れ始めた。
みるみる内に体中が汗だくになっていく。
「何が起こってるの?」
パールとウェドはどうしようもなくタクトを抑えることしかできなかった。
「・・・夢の中に入り込んだんだ!」
フラットが指を鳴らした。
「夢の中へ?」
「じゃあ、どうしようもねぇじゃねぇかよ!」
フラットはそんな二人に躊躇しつつ言った。
「いえ、他人の夢の中に侵入する方法なら、あります」
パールとウェドが希望に満ちた目でフラットをみつめた。
「でも、したくありません・・・」
「どうして?苦手なの?」
「それもありますが・・・」
フラットはため息をつくよいに深呼吸した。
「いいですか。夢というものは、その人の記憶の中だけで創られる“世界”なんです。その世界に侵入するということは、その人の記憶を全て見るということなんです。人には誰にも知られたくない記憶や過去があります。だから、嫌なんです」
「タクトの過去か・・・」
三人は成す術なく黙り込んでしまった。
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