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セイバー 12話

[403]  放浪者  2009-12-19投稿
「それは・・。」
シャネルは何か言いかけたが、すぐに口をつぐんだ。
「そりゃそうよね。忠誠心の塊みたいなあなたが、まさか裏切るなんてこと出来るわけないわよ。」
淡桃の髪の女は、くすくすと手を口の前によせて、さも上品に微笑んだ。
「ったく、とっとと終わらせようぜ?」
どうでもいいからとばかりに、ラグナは大きな欠伸をすると、腰のあたりから何やら黒曜石のような、美しく、どこか寂しげな魅惑の輝きを放つ物体を取り出した。
それは、灰色の石に囲まれ、両側には松明が等間隔に置かれた空間においてこれ以上ない存在価値を見い出していた。
「ほう、それが噂に名高い『ガルシアの瞳』か。まさかこの世に実在したとはな。」
松明の光を浴び、金色に反射したそれを見入るようにして、白髪の男がうなった。
「博識だな、ヴォルガのおっさん。」
ラグナはそう言うと、黒曜石をヴォルガに渡し、一見、行き止まりだと思われる場所まで歩き、そこで立ち止まった。
「前世の過ちを許し、汝を古の封印から解き放とう。」
ラグナがそういい終えるや否や、石の壁が轟音と共に動き出し、なくなったかと思うと、今度は何かをはむこむような窪みのある壁と入れ替わった。
「ヴォルガ!ここに。」

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