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子どもは家を選べない〜その14〜

[703]  真理康子  2009-12-20投稿
いかに、精神の強い者でも、執拗な嫌がらせが日常茶飯事で、それも、家の中で繰り返されれば、たまったものではない。
結衣子の父親は、千鶴子と結婚して、若くして胃潰瘍になり、その後も、心労が度重なって、胃を何度も摘出した。
千鶴子は、性的な喜びと、経済的な安定しか求めない女だったので、年の離れた夫には飽きたらず浮気を繰り返し、経済力がないので、離婚などしようとはしなかった。
子どもは、そんな千鶴子を恥じた、千鶴子の父親が度々通って家事をしてくれた。
旧家に生まれ育って、厨房に入ることを卑しいと思い込んだ千鶴子が、家事や育児をまともに出来ないことは、千鶴子の父親には判りすぎる程にわかっていた。
自らは、旧家でありながら、若い頃から苦労を積んできたが、戦後に友人に騙されて、無一文に等しい生活になってしまった。
五人の娘の内、上の二人は、戦前に名家に嫁ぎ、よく家に仕え、進んで厨房に立ち、それぞれの家の反映につくした。親の目にも、誇らしくて仕方のない娘だった。

下の二人の娘は、子どもの頃から疎開をして、上の三人の娘のように贅沢をさせてやることもないまま、騙されて、貧困を味わせてしまった。それでも、二人は活達に戦後を迎えた。




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