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子どもは家を選べない〜その15〜

[642]  真理康子  2009-12-26投稿
一族にとって、千鶴子がこの家にいること自体、辛抱しがたいものがあった。

若い頃から、絶えず、異性問題で醜聞を流し、その相手は決まって近親者の知り合いだった。
幼い姪をして、「千鶴子おばちゃんは、私ら女の従姉妹には興味がないよ」と言わしめた。

房子には、一人も言い寄る相手はなかったが、結衣子に想いを寄せる相手には、ことあるごとに近寄り、男性と話す喜びを味わった。調子があがると、卑猥な話を口にした。

若い彼らが辟易し、結衣子に家を捨てて自分と来るよう何人もが呼び掛けた。

結衣子は、その時点で、身体から火が出るように恥じて、好意だけ有り難く受けて、縁を切っていった。

諦めきれない相手が、家に指輪や高価なプレゼントを届けると、漫画に出てくるような話だが、不在の結衣子に成り代わって、千鶴子がそれらをせしめた。
千鶴子は、常に、物品恵まれる結衣子から片っ端からクスネては、嫉妬を募らせた。

特に、男性の仕事仲間に恵まれている雰囲気に恨みがましい想いを抱いた。

この調子なので、とうとう、質の悪いぺてん師に引っ掛かると、勝手に押し掛け、家の預金を大金引き出して、二人で有名ホテルを転々とし、千鶴子が親戚縁者を紹介しては借金や迷惑をかけて歩いた。

一族は親族会議を開き、千鶴子と縁を切り、結衣子をはじめ、結衣子の家族とは相変わらず親族として付き合いたいと涙ながらに申し出た。

その後、千鶴子とその相手は、凄まじい嫌がらせを一族、結衣子の家族、知人、友人に至るまで続けた。

結衣子の父親は、定年まで職場にいることが出来ず、早期退職に踏み切った。

長年の千鶴子の自堕落さが、人の模範を示してきた一族を地のそこに落とした。

それが、千鶴子の自由になる金銭がなくなると、相手にされず、某かの怒りに触れて暴力沙汰になって追い出され、こともあろうに家に逃げ帰り、更にこともあろうに、結衣子の父親は、千鶴子を家に入れた。

親族は戸惑い、結衣子は父親の決めた夫婦の問題には口を挟む気にもなれず、諦めて平淡を装い、実家から足を遠ざけた。

恩人を通じて熱心なプロポーズがあった時には、実家から逃げるように承諾した。

愛情は大して湧かなかったが、新しい環境で再出発出来るものと信じていた。

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