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世界でひとつだけの物語。?

[509]  麻呂  2009-12-27投稿

空港のロビーで、彼と待ち合わせをしていた私は、緊張していた。


一人で外出したのは生まれて初めてだったし、


もちろん、一人で電車に乗ったのも初めてだった。


目が見えるって、こんな世界だったんだ。


ふと見渡した雑踏の中に、彼の姿を見た。



『桃子。待った!?』



嬉しくて、すぐに声が出ない。



今、私の目の前にいるのは、



まぎれもなく、私の大切な彼。



心臓の鼓動が高鳴る。



こんなクリアな視界で、初めて見る彼は、



想像していた通りの、とても素敵な男性だった。



『桃子!?目‥‥。』



『宇野崎さん。

私の目は今‥‥

しっかりと、宇野崎さんの姿を見ています‥‥。』



あなたの姿を見るのが、



どんなに夢だった事か。



これまでの凝縮された思いが、



一気に溢れ出た。



『今日は、クリスマスイブ。

今年は、どうやら僕の所にも、

サンタさんが来てくれた様だね。


美しい天使が舞い降りた。』



優しくキスされた。


あなたは強く私を抱きしめてくれた。



『いつもは僕の方から君を迎えに行くのに、

今日は空港まで来てくれてありがとう。』



『驚いた!?

お願いがあるの。

今日一日だけ、私のわがままを聞いて欲しいの。

私、宇野崎さんと行きたい所がたくさんあるんだ。』



『‥‥いいよ。

桃子の言う事、

何でも叶えてあげる。』





空港を出ると真っ白な世界。



『今年もホワイトクリスマスだ。

ね、桃子。』



『うん。』



ふわふわと舞い降りてくる雪が、



私達の間を、



ふわふわとすり抜けて行く。



つないだ手の温もりが、



私の中に伝わってくる。



あなたと、ずっとこうしていたいだけ‥‥



ずっとずっといたいだけ‥‥‥

感想

  • 34623: ありがとうございました!桃子 [2011-01-16]
  • 34655: はい!私こそありがとうございます!麻呂 [2011-01-16]

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