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神のパシリ 60

[420]  ディナー  2010-01-05投稿
ゼルは、刹那の隙に
月の鉈を魂喰いの胸元へ
突き立てた。

音も無く刀身は魂喰いの
躯を貫く。

「ムダだ…ナンド、ドも
イワセるん ジャ …ね」

崩壊した魂喰いの
言語に耳を貸さず、
ゼルは力いっぱい鉈を
押し、切っ先を地面へ
突き刺した。

のけ反る形で、魂喰いは押さえ付けられる。

「…ほら…一番美味しい所はお前にやろう…
レミーシュ」

振り返り、ゼルは
レミーシュを見つめた。


その指には、
黄銅の指輪がはめられて
いる。


時使いから貰ったものだ。

レミーシュは魂喰いの
傍らに立ち、
指を踊らせた。

黄銅の指輪からは
自然に光が溢れ出し、
その光が陣となってゆく。



「…さようなら」



大粒の涙で滲んだ、
レミーシュの瞳が映す
世界は、
魂喰いを…
最後にひと時だけ、
『フェルゼル』
として映した。




陣から光が溢れ出し、
魂喰いが見えなくなる
ほど激しく発光し、
その光が穏やかに
収まっていく頃、




そこには三人しか
いなかった。

ゼルと、
キアと、
レミーシュ。







「終わったか」

「のようだねぇ。あとは、冥土に確認を取らなきゃいけないんじゃない?
光のパシリどもが
引き揚げたかどうか」

「あぁ。だが、交信手段がない。今は主の強制召喚を待つしかないだろう」

ゼルは、二人に頭を下げた。

「ありがとう…お前達が
いなければ…
できなかった」

キアがけたけたと笑う

「珍しい事もあるもん
だね。ちょっと待ってよ、従者にカメラを
持って来させるから」

レミーシュは、
そのゼルを反射的に
抱きしめていた。

「私こそ…ありがとう…
あと…ごめんなさい…
今度は、真心から…
貴方を抱かせて…」

ゼルは答えず、
レミーシュの体を離した。

「すまんな…次の仕事が
ある。それに、お前を
これ以上巻き込む訳には
いかない」

「…そうだよね」

そう顔をあげるレミーシュは、日を浴びて
きらきらと輝いていた。

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