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世界でひとつだけの物語。?

[401]  麻呂  2010-01-05投稿

『はい‥これ‥私からもプレゼント。』


『え!?桃子からのプレゼント!?

嬉しいな。』



これは内緒だけど、


妹に一緒に選んでもらったんだ。



『おっ‥カッコイイ。ベルトだぁ。

ありがとっ桃子!!』



笑顔で子供みたいに無邪気になる彼。



うふふ。



もともと、おめめぱっちりで可愛い顔してるんだぁ。



両手いっぱいのガーベラの花と、



両手いっぱいのあなたの愛。



いっぱいいっぱいもらったから、



思わず涙があふれた。



『どうして泣くの!?桃子‥‥。』



彼が優しく頭をなでてくれる。



『ううん。何でもない。大丈夫だから‥‥‥。』



『泣かないで‥‥桃子‥‥‥。』



優しく、



強く、



抱きしめられた。



そして、



甘い甘いキス。





『実はね、私の目が見えるのは、イブの今日一日だけなの。
明日になれば、また、もとの私に戻ってしまうの。』



私の言葉に、



彼は、それほど驚いた様子もなく、



いつもの様に、



優しく、



落ち着いた口調で言った。



『桃子。“桜梅桃李(オウバイトオリ)って言葉を知ってる!?』



『オウバイトウリ?』



『そう。桜は桜。

梅は梅。桃は桃。

李(スモモ)は李(スモモ)。

どれもみな、美しい花を咲かせる。

それぞれがみな、力いっぱい咲いている。

けれど、桜が梅になる事も、

梅が桃になる事も、
桃が李になる事も出来ない。


これらの花の様に、人間も、ありのまま、自分らしく咲き誇るのが、

もっとも美しいという意味だよ。』



『へぇ‥。そんな意味があるんだぁ。』


『だから桃子も‥‥
目が見えないのは、桃子の個性。

僕が桃子を好きな理由に、

桃子の目が見えるとか、見えないというのは関係ない。

これからも、

桃子が桃子であり続けてくれたら、

僕は、それが一番嬉しい。』



『‥っ‥ひっ‥‥。』



声にならない。



あなたのその言葉が、



あまりにも嬉しくて‥‥



声にならない‥‥。

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