白い天使のうた (14)
大資の絵本の読み聞かせは、始め、
一人二人の子供をむりやり連れてきては座らせ、
聞かせるというよりは、むしろ、聞いてもらう、という感じであった。
しかし、つっかえていた言葉も、だいぶ緊張が解けてくると、
感動溢れて、そこはとても穏やかな優しさの流れる空間となってきた。
そうすると、子供たちも少しずつ自分から集まるようになり、
何度も聞いている子供たちの中には、
自分のお気に入りの本を差し出すようになった。
この施設のほとんどの子供たちは、
本当に親から見放された、見捨てられたような子供たちである。
親が面談に来るなんてことはほとんどなかった。
この子たちの目の前で、書面にサインと捺印を押し、現金を置いて行った親たちである。
誰もが喪失感を持っていたし、
子供たちの目を見れば、失われた、壊されたものの大きさは一目瞭然であった。
誰もが、ケンカをする訳でなく、仲間意識を持つ訳でもなく、
大勢の中にいて、一人で生きていた。
これ以上大切なものを作って、それを失う悲しみを避けるかのように。
一人二人の子供をむりやり連れてきては座らせ、
聞かせるというよりは、むしろ、聞いてもらう、という感じであった。
しかし、つっかえていた言葉も、だいぶ緊張が解けてくると、
感動溢れて、そこはとても穏やかな優しさの流れる空間となってきた。
そうすると、子供たちも少しずつ自分から集まるようになり、
何度も聞いている子供たちの中には、
自分のお気に入りの本を差し出すようになった。
この施設のほとんどの子供たちは、
本当に親から見放された、見捨てられたような子供たちである。
親が面談に来るなんてことはほとんどなかった。
この子たちの目の前で、書面にサインと捺印を押し、現金を置いて行った親たちである。
誰もが喪失感を持っていたし、
子供たちの目を見れば、失われた、壊されたものの大きさは一目瞭然であった。
誰もが、ケンカをする訳でなく、仲間意識を持つ訳でもなく、
大勢の中にいて、一人で生きていた。
これ以上大切なものを作って、それを失う悲しみを避けるかのように。
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