白い天使のうた (19)
大資が、
「今度、施設の中で、絵本の『読み聞かせ大会』をしますよ。」
と話した時、
塚本は他のことを考えていた。
「りらをその中で歌わすことはできないかな。」
あれから数カ月が経ち、
森の小道の歌を、りらはすっかり自分のものとしていた。
歌うことが前よりも自然なことになっていき、
息をすることの代わりのようであった歌が、
前よりもっと、
自然な感覚となっていた。
「歌があれば、もっと人前でも立つことができるのでないかな。」
うたを歌う時のりらは、
親しい友達が寄り添っているような、
そんな安心感があった。
『読み聞かせ大会』の当日、
めいめいが、好きな絵本や本を持って来て、
口を大きく開けて、
自信いっぱい発表している最中、
りらの足の震えは止まらなかった。
「まだ早かったかな。」
塚本は、こころの中に不安が入ってくるのを追い払い、
「大丈夫」と祈るような気持ちで、
りらの順番までの間、
その横顔を見守った。
「最後のトリになんて、順番を持ってこなければよかったなぁ。」
本番を待つアーティスト本人のように、塚本自身が緊張していた。
りらの方の緊張と言えば、歌うことよりも、
むしろ人前に立つことができるのか、の話だった。
「声の大きさが良かった」
「表情が良かった」
「待ってる間にしっかりと他の人の話を聞いていた」
結局はそれぞれに評価を与えて、子供たちみんなに表彰を終えた後、
大資は、塚本の方を見て、
「大丈夫?」
と目配せをした。
「今度、施設の中で、絵本の『読み聞かせ大会』をしますよ。」
と話した時、
塚本は他のことを考えていた。
「りらをその中で歌わすことはできないかな。」
あれから数カ月が経ち、
森の小道の歌を、りらはすっかり自分のものとしていた。
歌うことが前よりも自然なことになっていき、
息をすることの代わりのようであった歌が、
前よりもっと、
自然な感覚となっていた。
「歌があれば、もっと人前でも立つことができるのでないかな。」
うたを歌う時のりらは、
親しい友達が寄り添っているような、
そんな安心感があった。
『読み聞かせ大会』の当日、
めいめいが、好きな絵本や本を持って来て、
口を大きく開けて、
自信いっぱい発表している最中、
りらの足の震えは止まらなかった。
「まだ早かったかな。」
塚本は、こころの中に不安が入ってくるのを追い払い、
「大丈夫」と祈るような気持ちで、
りらの順番までの間、
その横顔を見守った。
「最後のトリになんて、順番を持ってこなければよかったなぁ。」
本番を待つアーティスト本人のように、塚本自身が緊張していた。
りらの方の緊張と言えば、歌うことよりも、
むしろ人前に立つことができるのか、の話だった。
「声の大きさが良かった」
「表情が良かった」
「待ってる間にしっかりと他の人の話を聞いていた」
結局はそれぞれに評価を与えて、子供たちみんなに表彰を終えた後、
大資は、塚本の方を見て、
「大丈夫?」
と目配せをした。
感想
感想はありません。