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ある愛の表し方・3 木村蜜実

[442]  木村蜜実  2010-01-09投稿
カレは私を見て少し驚いていた…。

カレ自身、私がこんなに感情を出すとは思っていなかっただろう。

「…とりあえず、ここで話すのはよそう。君の家に…。」
そう言って、カレは私の手を引っ張る。

はじめて…
カレと手を繋いだ…。

私は、ただ泣くばかりでカレに誘導されながら家に行く。

カレの手はすごく温かく…大きい手…。

どこと無く…心まで温かくなる。

カレが私を好きな理由なんて、もうどうでもいい気がしてきた…。

ただ側にいて…
ただ笑ってくれる…

それだけで理由になる。

私自身、カレに対してそうなんだから…。





家に着くと、いつものようにカレは玄関で立ち止まる。

「入ってよ…話ししようよ…。」
私はカレの裾を引っ張り、涙目で見つめた。

カレは何も言わず、部屋へ入って行った。

コーヒーを入れて、カレに渡す。

しばらく無言でカレの様子を伺った。

「なぁ…。」
先に話しかけてきたのはカレだった。

「…なに?」
私は目を合わさずに返事をする。

「さっきの話しなんだけど…俺はな、君の事を抱きたくない訳じゃないんだ。」

「…もう、いいよ。私も少し感情的になっただけだし。あなたを困らせる事はしたくないし…。そばにいてくれるだけで、充分だから…。」
私は作り笑いをしながらカレを見た。

カレは真剣な表情をして、私を見つめた。

「…嘘じゃないんだ。君を好きな事も。大切なんだよ。」
頬に手を当てて、何度も撫でる。

私は…
やっぱりこの人に…

愛されたい。

そう思ってしまった。

いけない事だとわかっていても…

この人じゃなきゃ…。






「抱いて…。お願い…。」
カレの胸に抱き着いて、私はそう呟いた…。





もう…
この想いは止められない…。

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