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子どもは、家を選べない〜その18〜

[698]  真理康子  2010-01-16投稿
翔は、もう、何もかもが終わって欲しいと願っていた。
祖父が生きていた時は、祖父と叔母の房子がペアになり、それなりに、家族が五人揃って自分に好意的な大切な存在だった。
叔母の自分に対する過干渉も、今よりはマシだった。

一人っ子の翔にとって、家族はかけがえのない存在だったのが、祖父の死後、形がいびつになった。

祖父という、バリアがなくなり、叔母も祖母も過剰に自分に向かってきた。

自分に対して、良くされているわけで、別に翔は、その好意が嫌ではなかった。

在宅していたら、動く必要などない。

物も、食品も、向こうから来る。母親に、せき立てられるように学校に行ったが、もう、だらしなさが身に付き出していた。
母親の結衣子の苛立ちは、理解したくなかった。

そうこうする内に、国立大に合格出来ると、友人のように一人暮らしをしてみたくなった。

母は、いそいそと下宿の手配をした。不便な土地だったが、車も買ってくれた。

それはそれで快適でありながら、自分が家にいない事を、母親が奨励することは面白くなかった。

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