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死想 1

[709]  nio  2010-01-20投稿
彼女、仁科瑞希はよく、自分が様々な死に方をされる事を想像する。

ある時は全く知らない人にいきなり腹を包丁で刺され出血多量で痛みと絶望を感じながら絶命し、またある時は自ら体に害のある薬を大量に服用し、血を口からぼたぼたと流して、苦しみながら息絶える。
彼女は気がついたときから悲惨な死に方を望んでいた。

彼女は6年間引きこもりの生活を続けていた。
小学校までは明るく、社交的で友達も多い方だった。しかし、中学校にあがると思うようにクラスメイトと話すことが出来ず、次第に瑞希は孤立していった。

瑞希は容姿にはまったく気を使わず、眉毛や鼻の下の産毛は伸びたままだった。そのことをクラスの男子がひそひそ話しているのを聞き、瑞希はとてもショックを受けた。
次の日、瑞希は眉毛を整え、鼻の下の産毛も綺麗に剃った。
しかし、それは無意味だった。彼らは彼女がどんな姿になろうと、キモイという言葉を交えながらひそひそと会話を始めた。
整形してスタイルもよくして美人になったら彼らも彼女に対して快く接してくれるかもしれない、そう瑞希は考えたこともあった。
だが、そんなお金などあるはずがなかった。
瑞希は一人っ子で両親は共働きでいつも帰りが遅かった。
家は借家で、築も古かった。
生活はギリギリで、貯金もろくにしていなかった。家賃も高くなく、共働きで一人っ子ならそんなに苦しくないのでは、と思うかもしれないが、仁科家はお金は母と父それぞれが自分で管理しており、しかも父は大半をギャンブルにつぎ込み、殆ど残ることはなかったのだ。
その事についてよく母と父が喧嘩をしていた。そのたびに瑞希は恐怖に震えながら部屋に閉じこもっていた。

やがて母と父の仲はますます悪化し、学校では嫌でも悪口が耳に入り、精神を不安定にさせる。
そんな日が続いたある日、瑞希は部屋に閉じこもり、学校に行かないことを決めたのだ。

この日から、瑞希の引きこもり生活が始まったのだ。

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