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繋いだ手

[572]  ふく  2010-02-01投稿
初めて手を繋いだ日
手と手の温もりで想いは溢れ出した
大きなあなたの手に包まれた私の右手は
あなたが好きだと
離さないでと言っていた

これが最後だと分かった日
繋がれた手が寂しいと言っていた
あの日と変わらない温もりを感じるのに
悲しさが溢れ出す
こんなにも近いのに
触れ合っているはずなのに
何処か遠くて
壊せない何かをお互いが知っている

悲しくもはかなくて
手と手の温もりが二人を引き裂いて行く

何を求めて出会ったのだろう
何の為にこうしてあなたと歩いたのだろう

離さないで
そう言えたとしても
あなたが笑って頷いてくれたとしても
それは真実ではないと分かっている
だから言えなくて
ただあなたの背中を見守ることしか出来なかった

離された右手を握りしめて泣いた
あなたの大きな左手も
見慣れたあなたのその背中も
この瞬間で他人になる

始めから別れが来ると知っていながらもあなたを愛したのは
先の苦しみよりも
光のない未来よりも
それ以上に自分の愛を大切にしたかったから
まだ私にはこんなにも人を愛せる力があったのだと知ったから
それが嬉しかったから

そして
あなたが私を愛してくれたことが何よりも嬉しかったから

二人が出した答えならば
それが正しい答えだった
愛し合ったことも
終止符を打ったことも

あなたも私もさよならを口にしなかったのは
また遠い未来で出会えると思ったから
例えあなたがそうでなくても
私はあなたもそう思ってくれていると信じたい

私は自信を持って言える
どんなに遠い未来だとしても
またあなたと同じ世界に
同じ時に生まれることが出来たなら
すぐにあなたを見付けると
今以上にあなたを愛すると

そしてあなたの手を握って言いたい

『久しぶり』

笑って言いたい
もう離れることはないように

『やっと会えたね』

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