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リレー小説「ある物語〜3〜」:唯沙

[434]  唯沙  2010-02-03投稿
「姫様!」


その声でトーコは大木の穴から出たことに気付いた。

トーコは辺りを見渡した。

そこには綺麗な町並みが広がっていた。

市場のようなところで人々は美女に向かって次々に


「姫様!!」


と声をあげていた。

トーコはこの美女がここでは姫様だと認識した。

そしてトーコは握りしめていた手をぐいっとひっぱって美女を振り向かせた。


「トーコ。

大丈夫。

ここは私の国よ。」


トーコは


「国?」


と頭を悩ませた。

トーコの世界にはそんな言葉はなかったのだ。

すると姫様と呼ばれる美女は答えた。


「トーコのいた世界とは違うのよ。

時間も世界もね。

トーコのいたところではあの大木が世界と時空を渡るきっかけ。

そして渡れるのは決められた人だけ。

トーコ。

あなたは特別なのよ。」


特別…。


トーコは特別と言う言葉を心の中で繰り返した。

そして母の言葉を繰り返し考えた。

母も同じことを言っていた。

トーコは少しだけ自分が特別だと実感し始めた。

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