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満たし月

[442]  となりのトトりん  2010-02-05投稿
暗闇のベールに
針で穴を開けたように
満たし月が
途切れることのない閃光で
私の輪郭を静かに
地に落とす

艶やかさを失くし
茂った樹々の陰に入ると
夜半の太陽は
私の影を濃闇に溶かした

私は標を失ったように
よろめき 蠢き
見えない明日に
動悸を覚え
掴みどころのないベールを
風が吹き
 捲れるのを待つだけだった…

煌け…

今夜の満たし月のように
陽が高く昇るのを
待つのではなく
自分の手で濃闇(ベール)を捲ろう

身体に絡みついた
白銀の蔓を
引き剥がすように…

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