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ネットを間に10

[551]  V2副会長  2010-02-05投稿
「お前のせいだ。」 いきなり言って瀬戸の目を泳がせ、和田は残りのビールをあおった。 「こんなに皆に頑張れ頑張れ…言われた事ない」「すると石川くんは今、何語だったんですか?」「さぁ、トルコ語?」 瀬戸がトルコにウケている間に、和田はこっそり水を飲んで気を取り戻させた。まだ潰れるわけにはいかない。こんな時間は、これからもないに等しいかった。
「今度は瀬戸の番だ」
「……」 「何言われたって平気だから。暴露しろよ」 「今、しあわせです。」「その理由は?…いったいどんな夢見ちゃったんだ?」
「……トルコ語なので分からないです」 ムッとした和田は、そのすまし顔の耳に口を寄せ、小声でささやいた。「………」 瀬戸からはっと息をのむ音がする。 うっかり間近にその表情を見た和田は、仕掛けた刃が胸に跳ね返ってくるのを感じた。
「覚悟してきました」 テーブルの上に組んだ指が、かすかに揺れた気がした。 「ここまできたら、和田さんの方で折れてもらいます」
「……で、どうする?」「………」 「くだらないんだよ。」「和田さん」
「そんなのもう、とっくにおとされてる。顔も見たくないんだよ」
「?はい?」 瀬戸にはまた異国語にでも聞こえたのかもしれないが、和田は二度と言うつもりはなかった。

「右手、貸して」 出された手に上から重ねて、瀬戸を真っ直ぐに見た。
「だから、こんな馬鹿げた封印解いて石川とフェアにやらせてくれ」
「…迫る前に落ちたってどういう事ですか?」 潤んだ目をして首をかしげる瀬戸に和田は笑った。 「駆け引きをもっと楽しみたかったら、最初から自分の魂売るような真似はしない方がいいんじゃないかな。……ですかね?」
店主からのビールを受けつつ、聞いてみると大きく頷いてくれた。 「その通りです。そして狭い店内、皆固唾を飲んで聞いてしまいました。餞別に一杯どうぞ…」
4〜5人の酔客が手を叩いたり、冷やかしたりしてくる中、瀬戸が畏まって酌を受けていた。


おしまい。
ありがとうございました

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