携帯小説!(スマートフォン版)

トップページ >> その他 >> 池上花屋

池上花屋

[780]  吉良きら  2010-02-07投稿

嫌いだ。

花は嫌いだ。




なぜか?そう聞かれたら解らないと答えるしか出来ないだろう。
家は花屋を営んでいて、僕は小さな頃から手伝いと称して花を育てていた。
別に花を育てる事は楽しかったし5歳になる頃には一人前にバラの大輪を咲かせてみせた。今では花のアレンジだってできる。
だけど、昔はあんなに好きだった花が今では嫌いになっている。

なぜだろうか?




学校から帰った僕は直ぐ二階の自室に戻り着替えた。
そしてエプロンをしながら階段を降りて5時丁度に店番をする母と交代した。
母は俺と交代している間に食事、家事をする。

アルバイトは雇っている。けど、どうしても花の売れる季節になると人手が足りなくなる。

アルバイトなのだから細かい所は母しか決められない。
そうすると母が店番を抜けている間、お客さんへの対応がどうしても遅くなってしまうのだ。
その穴埋めにと僕が店番をして母の代わりになる。
高校生だと侮られるので私服に着替え歳を誤魔化して見せている。
どうせ僕は老け顔だ。チッ

店に繋がるドアを開けると、途端に様々な花が主張する匂い広がる。

「あ、おかえりー琴梨君。」
いつも一番に声をかけてくれるのは大学生のバイトの多田さんだ。

「スミマセン。遅くなって…」
僕は悪びれもなく誤った。
謝っておけば、取り合えず当たり障りのない人間関係を築けるからだ。

「大丈夫だよ、琴梨君。どうせ暇だったんだからさ」
久賀さんもカーネーションの花束のアレンジをしながら声をかけてきてくれた。
あと母の日まで2日だ。

僕も急いで作業に取りかかった。

感想

感想はありません。

「 吉良きら 」の携帯小説

その他の新着携帯小説

利用規約 - サイトマップ - 運営団体
© TagajoTown 管理人のメールアドレス