アオイ,そら。3
1-3 悲しき蒼。
私は走って多哀の後を追いかけた。
校内なら充分に追いつける。
筈なのに‥。
ーおかしい。
多哀の姿がどこにも見当たらない。
既に校外へ出ているのだろうか。
だとしたら,奴は相当足が速い。
それも超人的に。
ますます怪しい奴だ。
それでも諦めきれない私は,学校を出て怠慢通りへと向かった。
何となく,
そこに奴は居そうな気がしたのだ。
予想は的中した。
だけど,
居たのは多哀だけではなかった。
『金出せコラァ!!』
大きな怒鳴り声が響く。
そう,
この町では有名な不良達だ。
多哀はその不良達にカツアゲされていた。
ー次から次へと哀れな奴だなぁ。
原因の一つ私だけど,
何だか可笑しくなった。
不良達に胸ぐらを捕まれても,多哀は顔色一つ変えない。
なかなか度胸のある奴。
しかしそれが,益々不良達を刺激していた。
『おいコラ,なめてんのかテメェ!!』
遂に一人が手をあげそうになった時,
多哀は何かを呟いて,
自分の財布を乱暴に放り投げた。
多哀が何を言ったかは聞こえなかったけど,
財布を拾った不良達は,あからさまに腰が低くなって,
頭をペコペコ下げながら去って行った。
『多哀!!』
私は多哀に駆け寄った。
・・続く・・
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