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永久に§16§

[586]  夏姫  2010-02-14投稿
《もうすぐ駅に着くよ。》

あと2駅というところで、私はサイにメールをした。

《迎えに行こうか?》

《別に大丈夫だよ!?》

《だって寒いじゃん。》

《じゃあ…お願いします。》

サイの理由は寒いからになっていたけど、本当は早く私に会いたかったんじゃないかって思う。
だって私は電車の中にいたし、外を歩けば身体が温まるからだ。
それに日中は、騒ぐほど寒い訳ではない。

「おっす。」

私が助手席のドアを開けた瞬間に中から声がかけられる。

「はい、チョコ。」

私は車を運転しているサイにチョコを見せた。

「ちょっと待てや〜。俺今運転中だぞ。」

「だって、持ってるの怖いんだもん。」

実はチョコの他に、誕生日プレゼントもあった。
本当は3日前だが、事情が事情なので、渡せなかった。

「俺が持っていたらもっと怖いべや。」

笑いながら私にそう言うサイ。
この笑顔を見るのは、約1ヶ月ぶりだった。

「今日そんなに寒い?」

「俺の家は寒いのや。」

今は引越しの真っ最中らしく、ストーブやコタツは持って行ってしまったらしい。
部屋の中を見ると、布団が居間に敷いてあった。
…それも、毛布とコタツ布団が1枚ずつ。

――これじゃあ寒いはずだよ。

こっそりとため息をつき、私はサイが一足先に入っている布団に潜り込んだ。


……それからあとは、あっという間だった。

久しぶりに抱きしめあい、久しぶりにキスをした。

息をつく暇もないくらい、長くて深いキスだった。

お互いを抱きしめて身体を温めあった。

そしてやっぱり最後に思ったのは、この人と一生一緒にいたい、だった。


……そして、帰り際。

サイは私に‘ありがとう’って言ってくれた。

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