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番外編 スカバンburn!! うちの特等席 (1/5)

[321]  きゃしー  2010-03-22投稿

それは10年以上も前のこと――

「うわぁーんっ!」


夕暮れの公園。

手をひかれ、泣きながら歩いているのは当時4歳のうち。黙ってうちの手をひくのは同じく当時4歳の猛。

「そうや!はーちゃん!!僕がおんぶしてあげる!」

ずっと黙っていた猛が背中を向ける。

「でも…はのん、重くない?」

恐る恐る聞くと、返ってきたのはいつもの笑顔


「大丈夫!任せて!!僕、男の子やもん!」



タケのお母さんは亡くなって、タケのお父さんがうちの家、すみれ園にタケを連れてきた。すみれ園は親のいない子のために、“先生”と呼ばれるうちのお父さんが造った家。うちより年下の子は何人かいたけど、同じ歳の子はタケが初めてで、タケとは誰よりもほんまの兄弟である気がした。


「先生が言っとった。“痛い時ほど笑え”って」

「うん…ぐすっ…しってる」


“笑え”はお父さんの口癖やもん


「だからね、僕はいっぱい笑うねん。それで、はーちゃんが笑わん時は笑わせたる。」

「…ぐす…どうやっ…て?」

「たとえば…たける、はっしゃします!」

うちをおぶったまま走り出すタケ。
その背中でうちはキャーキャー言いながら次第に笑顔になっていった。

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